大事な取引に失敗し、地方に飛ばされました

包装用資材等製造販売会社退職勧奨拒否配転事件

大阪にある、梱包資材を取り扱う会社に勤務していた男性社員が、部長への昇進と同時に関連会社の出向しました。そこで、会社での最優先事項の取引があり、男性社員はその担当となりましたが、この取引に失敗してしまいました。

その後も、他の仕事でも失敗が続き、会社から、退職勧奨を受けましたが、これを拒否したところ、会社の業績不振を理由に、自宅謹慎となりました。

その後、男性社員は、筑波の工場へ転勤命令がでて、その後部長から降格処分をうけました。男性社員は、つくばの工場への転勤に不服を申し出たところ、再度の自宅謹慎となり、次は奈良の工場への転勤命令が出されました。

どちらの工場でも、肉体労働の単純作業の仕事であり、男性社員の経験やスキルを無視するものであるとして、男子社員は、転勤と降格は無効であると主張し、異動命令の無効、降格による賃金の差額、精神的苦痛による慰謝料500万円を請求する訴訟を起こしました(大阪地裁平成12年8月28日判決)。

降格処分

会社において、重要な役職についている場合、業務上の重大な失敗があった時に、それに見合った責任である、降格や減収処分は、正当な範囲であれば、会社の判断に委ねられます。

この男性社員は、取引の失敗により、部長職を解かれていますが、この場合において、男性社員が取引先と問題をお越し、また社内でもこの男性社員への批判が多かったことも検討すれば、会社が、降格処分を下したことは、職権乱用に当たるとはいえないとしました。

配転命令

会社が配置転換を命令する場合は、適材適所な人材を考慮すべきです。

当該事件では、筑波工場での業務ははじめて作られたものであり、この男性社員でなければならないわけではありませんでした。特に、男性社員は、退職勧奨を受けてこれを拒否し、自宅謹慎中であったことも考慮すると、男性社員が経験したことのない肉体労働に従事させる異動は、退職勧奨を拒否したことに対する嫌がらせなり、無効であるとしました。

2回めの奈良工場への異動も、奈良工場の業務はゴミ回収作業であり、これをこの男性社員にさせる必要性がないため、これも無効としました。

降格処分と配置転換と慰謝料

この事件では、重要な職責にあった社員が、その対応に明らかな問題があったために取引に失敗したために、降格処分になることは、問題に該当せず慰謝料について、2回の配置転換を無効とすることで足りるとし、これを超える損害は認められないとされました。

取引への失敗は、つきものです。しかし、バランシングの観点からは、配置転換の無効を不適法とすることで図られています。無理だと思ってあきらめてはいけないのだと思います。

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