結婚して5年経ちました。
夫婦で子供を望んでいるために、妊活をしています。
妊活は、身体に負担が大きく、産婦人科の受診や具合が悪いときに、有給を取っていますが、頻度が多くなってきているため、休職で対応できないかと考えています。
労働基準法68条
手掛かりとなる規定は、直接的にはありません。
ただ、労働基準法68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が生理休暇を求めたときには、これを認めなければならない、としています。
いわゆる妊活は一般的にもまだ浸透している概念であるとはいいがたく、ましてや、妊活で休職できるかどうかは、就業規則で定めた会社はまだ少なく、休職を認めるかは会社の判断によるところが多いのが現状です。
実際は、労働基準法68条は、生理日であればいつでもとは定めていません。「著しく困難な」という留保を付けた上で、使用者に対し、認めるように義務付けています。ちなみに、生理休暇の日数は月1日などの明確な制限がある者ではなく、2日以上でも可能は可能なのですが、この間の賃金は無給扱いになってしまうのが原則です。
就業規則に定めがある場合には別なのですが、判例にも有名なものがあります。「エヌ・ビー・シー工業事件」という最高裁判例は、生理休暇取得日を欠席扱いとする扱いに対して、休暇日の賃金と同様に当事者間の取り決めに委ねた問題であると整理したうえで、生理休暇にかかる所得を著しく抑制しない限りは労基法上も私法上も違法ではないと判示しています。
これから読み取ることができるのは、生理休暇にかかる所得を著しく抑制するものであれば、別の判断がありえたわけです。この最高裁判例は、昭和60年7月16日に出されたものですから、現在ではさらに生理休暇に対して寛容な判断に至る可能性が高いでしょう。
また、ほかの最高裁判例には、昇給・降格の要件としての出勤率の算出にあたって、生理休暇の取得日を欠勤扱いとする処理の適法性に対して、生理休暇取得に対する抑制力が強い場合には、公序良俗違反行為であるとして無効となる判断を示したものも、平成元年12月24日に出されています(日本シェーリング事件」。
休職制度
休職を取ることも手段の一つでしょう。
会社都合による休職なのか、本人の自己都合によるべき休職とがあり得ます。
会社都合の場合には労働基準法26条の定めにより休職事由に応じたうえで60%から100%の賃金が請求できることがあります。
しかし、自己都合の場合には、基本的にありません。休職制度は、さまざまな事情があれ、出勤が困難となった者に対して一定の期間の休職を認めることで解雇を猶予する狙いがあります。
休職制度をうまく活用すれば、労働力を提供していても、解雇などの不利益処分にはいたるものではないのです。
就業規則上は、傷病休職のほか、自己欠勤休職、などについて定めがあるのが通常ですが、そうでなかったとしても、会社側が必要であると判断できる場合には、不利益を伴うことなく休職を認めることもあり得ます。
現在では、女性の活躍推進を図るため、妊活休職制度を認める企業も出ています。厚生労働省も事業者むけにリーフレットを作成しており、そのタイトルは「従業員が希望する妊娠・出産を実現するために」というものです。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30.pdf
このリーフレットは、厚生労働省が情報提供をするために作成されたものですが、通院のための時間単位での年次有給休暇の取得や不妊治療目的で利用することができるフレックスタイム制度の導入とともに、不妊治療のための休暇制度を設定することを推奨しています。
これらは先進的なもので、時代が追い付いていないかもしれませんが、このようなものをきっかけとして、使用者側と掛け合うことも十分あり得るのではないでしょうか。