ご相談内容
小さな雑貨や家具など販売店をやっていて、従業員は女性ばかりです。
全員、各フロアで接客業をしていて、基本的には立ち仕事で、就業規則通りに、休憩時間を取っています。
最近、ある女性従業員が妊娠して、産前産後休暇を取得しながらも、勤務を続けたいとのことなので、相談の上、仕事を継続しています。
ところが、最近になって、切迫早産の恐れがあるなどで、立ち仕事ができないので、事務のような座り仕事に変えてほしいと申し出を受けました。
うちの会社では、事務の仕事などないので、どうしたらよいでしょうか。
妊婦の軽易作業転換
労働基準法 第65条第3項に、「妊娠中の女性が請求した場合には、軽易な業務に転換させなければならない」と定めています。
では、妊娠した女性にとって、身体的に負担の大きい作業とはどのような業務でしょうか。
– 重量物を取り扱う作業、継続作業として6〜8キロ、断続作業として10キロ以上
– 外勤務など継続的歩行を強制される作業
– 常時、全身の運動を伴う作業
– 頻繁に階段の昇降を伴う作業
– 腹部を圧迫する等、不自然な姿勢を強要される作業
– 全身の振動を伴う作業
– 休憩のとれない勤務体系
などがあります。
ただしこれらは、それぞれが独立したものではなく、業種に応じて柔軟に考えていく必要があるでしょう。
新しく軽易な業務を作るのか
ご相談者様のように、全従業員が同じ立ち仕事である場合、切迫相談の恐れがある妊婦の従業員のために、新しく軽易な作業を作り出さないといけないのでしょうか。
確かに、妊娠中の女性から軽易な作業の申し出があった場合、軽易な業うに転換させなければなりません。
しかし、これは、原則として、女性が請求した、会社に「存在する業務」に配置転換するという趣旨であり、軽易な業務がない場合にまで、新たに軽易な業務を作り出して与える義務はありません(昭和61. 3. 20基発第1515号)。
できる範囲での検討
軽易な業務ななかった場合でも、椅子をおいて座る場所を作る、勤務時間や休息時間の変更など、できることを労働者と話し合っていき、それでも要求する業務体系がない場合は、一時的に休職をとるなどを、検討する必要もあります。