妊娠したら、嫌がらせをうけて切迫流産しました

事例

介護指導員の女性が、勤務先の医療法人の男性理事から、食事のときにプレゼントを頻繁に受けるようになり、受け取りを拒否したところ、配置転換を命じられました。

配置転換先は、汚物室の衣類のチェック、病棟の瓶などの洗浄、入浴介助の仕事に異動させられた。また、女性は、妊娠したことを勤務先に報告したところ、上司(女性)から、「想像妊娠じゃないの?」「中絶も認められる」と言われた。

その結果、特殊浴の入浴介助を一人で行い、切迫流産した。

女性は、医療法人の男性理事、女性の上司、医療法人に対して、慰謝料を請求した。

判決

女性が、配置転換させられて行った業務は、普段一人でやる業務ではなく、それを1人に集中してまかせたことは、嫌がらせと受け止められても仕方がない

また、妊娠に当たっての上司の発言は著しく不適切であるとして、男性理事と上司に対して、慰謝料77万円の支払いを命じた。

医療法人に対して、今後このような行為を行わないための一般予防としての1100万円の賠償は棄却された。

妊娠を理由とする不利益な扱い

妊娠を理由に、職場で不利益な扱いをうけるマタハラの事例は数多くあります。悪質な解雇から、上記のような異動の事例もあり、最近は増加傾向と指摘できます。

本裁判例のように、1100万円に対する損害賠償請求が認容されなくても、77万円の慰謝料請求が認容されるようになり、ある意味で、マタハラに対する責任追及は、一般化してきているといえましょう。

上記のようなリスクもふまえ、今後、職場では、「妊娠を理由として」「不利益な扱い」をしないように、妊娠、出産、産前産後休業、復職について、女性を支援する働きやすい環境作りが重要です。

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