セクハラ裁判での供述の難しさ

事例

区議会議員の男性候補者が、事務所で働く女性選挙運動員からセクハラで訴えられた。

この事件では、女性は、男性からわいせつ行為を受けたとして、男性に慰謝料請求を行ったが、もともと女性が男性に好意を寄せていて、女性から男性に積極的なメールを送っていた。また、女性は、わいせつな行為を受けていながら、冷静に事実関係を供述している。

判決

第一審の東京地裁平成20年9月26日判決では、女性の供述が事実であることを認定した上で、男性に慰謝料の支払いを命じています。男性側はこれを不服として、東京高裁に控訴し、東京高裁平成21年2月12日判決で、セクハラとして認定されなかったケースです。以下、この事例の特徴を分析してみます。

– もともと女性が男性を積極的に誘っていたこと

– 女性がわいせつな行為を受けた場合動揺するのが普通であるにも関わらず、冷静に事実関係を供述したことが逆に作為的に感じられること

– セクハラ行為を受けてから訴訟提起まで半年以上たっている

– その間に女性は男性に抗議をしていなかった

ことが考慮されていると指摘できます。

セクハラ事実認定の難しさ

このように、セクハラは行為は、事実認定において、当事者間の関係、セクハラを受けた時の行動、その後の行動などを幅広く考慮されます。証拠の有無、というより、セクハラを原因とする裁判の場合、被害にあってからどのような行動をとったものであるかが重要視されていると言えます。

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