業務命令・懲戒処分を行う際、以下の観点からの注意が必要です。
- 上司の業務命令に従わない場合、これが業務命令として行う内容にあたるか業務命令に従わない従業員にどうやって指導、注意するか
- 指導、注意しても従わない場合はどうしたらよいか
業務命令権・懲戒権
業務命令権とその限界
労働者と労働契約を締結し、雇用関係が成立すると、労働者に対する業務の遂行全般について使用者側が必要な指示・命令を発することができます。
裏を返すと、合理的な命令には、労働者は服する義務があるのです。業務命令権と言います。実は、就業規則に規定があることがほとんどですが、実は、労働者に対して著しい不利益を応じることになる、不合理なものであれば、実は業務命令権の逸脱濫用として評価される可能性はあるのです。
業務命令が合理的なのかどうかは、そのときどきの状況、当該法人の扱っている職種の内容、就業規則にあるさだめの内容、上司の指示が労働契約上適法なものとされるか同課の判断は、命令内容が状況に応じて相当なものであったのかの判断が必要となります。そのうえで、相当なものであることを前提に、具体的な状況に応じて正当なものなのかどうかを考える必要があります。
懲戒権の行使
合理的な命令にも従うことがない労働者は、懲戒処分を検討することになります。
もちろん、懲戒処分は、業務命令に従わない労働者がいる場合行使するべきであって、ただちに懲戒権をふりかざすことは不適法になりかねません。指導・注意に従わない場合の手段です。
懲戒処分の種類には、一般的なもので、戒告・けん責・減給・出勤停止・降格・論旨解雇・懲戒解雇の順で重くなります。ただし、どれでもできるというものではなく、以下のような順序で適法性を検討するのが通常です。
根拠規定があることを前提に、懲戒事由に該当する事実があることの確認、その事実が処分の内容と均衡が保たれ、他の事例とも均衡を保たれているか、これらの判断が不可欠です。そのうえで、実際の事実の調査のうえで適切な手続がふまれているのかも問題となりえます。
法人側としては、自社の就業規則に照らすしかありませんが、独断で決定をすることは基本的に不適法になりえますから、告知・聴聞の機会は不可欠です。