パワハラ被害にあいました。慰謝料はどの程度が相場でしょうか。

パワハラ被害の慰謝料の実態

平成17年から30年まで、パワハラによる慰謝料を認定した裁判例のうち(複合事案を除く)
35% : 50万円未満
15% : 50万円 – 100万円
22% : 100万円 – 200万円
4% : 200万円 – 300万円
3% : 300万円 – 500万円
0% : 500万円 – 1000万円
3% : 1000万円から – 2000万円
16% : 2000万円以上

になりました。

つまり、パワハラに対する慰謝料は、数万円程度から2000万円以上を認定するものまで存在し、認定額には大きな幅があり、一概に相場というものはありません。

もちろん、パワハラだけの請求をしたのではなく、パワハラを原因として逸失利益を請求したり、逸失利益の算定に際して慰謝料を補充的に考慮したり、治療費の請求が加算されていたり、その事件によって解決方法はさまざまですから、一概にはいえないかもしれません。

しかし、これらの裁判例から、慰謝料金額を認定するときに考慮している点がいくつか浮かび上がることになりますから、ご紹介していきます。

パワハラ行為の悪質性

そもそもパワハラ行為そのものは、専門用語では行為態様といいます。

たとえば上司の侮辱的な指導や叱責にパワハラの意図がないと認定されたものもあれば、過失行為に過ぎなかったと認定されるものまでさまざまです(これらは実際にあった裁判例になります)。

しかし、実際労働者が有している権利、たとえば時間外労働を恒常的に敷いていた事例であって、養成社員という立場で不平不満を漏らすことができない状況での嫌がらせに、150万円の慰謝料を認容した例があります(津地判平成21年2月19日労判982号66頁)。

ある意味で、労働者の正当な権利を制限する形でのパワハラ行為や罵倒などには、悪質性が肯定されやすいと指摘できるでしょう。

パワパラ行為の継続性

当該行為自体が一回にとどまるものであるのか、継続的に行われたものなのか、執拗性は一つの要素となります。

ひとつひとつのパワハラ行為に対して分析的に慰謝料を認定するというよりは、労働問題全体をみたうえで、権利救済を図っていると指摘することができましょう。

代表取締役の秘書の立場にあるものが、勤務中6年にわたって侮辱的な発言に耐えていたことを理由に慰謝料100万円を肯定した裁判例が、東京地判平成28年2月3日にありました。

パワハラによる結果の重大性

精神疾患になった場合 結果的に、うつ病などに罹患する場合には、100万円の慰謝料を超えるものも散見されます。

ただし、うつ病にも重傷度があるので、一概にはいえませんが、精神疾患などに罹患したこととの因果関係が肯定されると、100万円の慰謝料を超過する例は多いと指摘できましょう。

なお、精神疾患に至ったにとどまることがなく、パワハラ行為によって労働者が自殺してしまう場合には、4桁を超過する慰謝料を肯定する事例も多く、相続対象となった慰謝料のみならず、遺族固有の慰謝料、逸失利益なども認容されることがあります。

被害者側の対応・素因

実は、加害者がどのような悪質な行為を行ったのか、という行為態様のみならず、被害者側にも落ち度はなかったのか、パワハラに至る経緯や被害者側の不適切な行為、精神疾患に至る場合のそもそも被害者が有していた素因なども慰謝料の考慮の対象になります。

実際に、落ち度を肯定させた事案として、被害者側にも、仕事を付与することに対して躊躇支えるような言動があったことを根拠として、13年間継続して業務の合理性なく仕事を与えられなかったことへの慰謝料金額を40万円とした裁判例があったり(神戸地判平成29年8月9日労経速2328号23頁)、被害者が態度を改めることのなかった事例においてパワハラ行為と認定された上司の発言をとりあげた裁判例もあります(東京地判平成28年3月17日)。

少なからず被害者側の対応を踏まえ、パワハラ行為全体をみたうえで慰謝料などの支払い金額を判断していることは指摘できましょう。

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