ハラスメントの問題の雇用管理者の措置義務とグレーゾーンの対応

雇用管理者の取るべき対応

ハラスメント問題に対しては、会社は雇用管理者として、ガイドラインに従う必要があります。一方、ハラスメントにはグレーゾーンが多く、それを放置することに多大なリスクがあります


ハラスメントのグレーゾーン

ほとんどの場合、ハラスメントの行為者は、意識的、無意識的のどちらにおいても、その言動が、ハラスメントになっているとは思っていません。そもそもハラスメントが成立していると認識していながら、その行為を行っているのであれば、問題は起きないともいえるのです。

例えば、
– 女性社員を、「ちゃん」付けで呼ぶ(行為者は、親しみを込めている)
– 職場で軽い下ネタを言う(行為者は、雰囲気を和ませようとしている)

その言動は、行為者もハラスメントのつもりがなく、「職場におけるハラスメント」と断定することはできないが、受け手は、ハラスメントと反応することがよくあります。


会社の法的義務

ハラスメント問題に間する雇用管理上の措置義務とは、

セクハラと妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントについては、これらに起因する問題に関して雇用管理上必要な措置を講ずべき義務です。

10項目定められています。

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

 1  職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあって はならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

2  セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内 容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

3 相談窓口をあらかじめ定めること。

4 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。 また、広く相談に対応すること。

職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

5 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

6 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。

7 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。

8 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

上記の措置と併せて講ずべき措置

9 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。

10 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行っ てはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

これらの特徴は、流動的であることから、適切な対応がなにであるのか、現場では判断がつかないことが往々にしてあります。

マタハラ措置指針では、5つの指針が定められています。

(1)マタハラ禁止の方針の明確化・社内での周知

(2)マタハラについての相談体制の整備

(3)マタハラについての相談が発生したときの適切な対応

(4)マタハラの背景要因を解消するための措置

(5)マタハラを相談した場合のプライバシー保護などのルールの周知

などがあります。他にも、育介指針が定められています。

パワハラに関しては、「労働施策総合推進法」の改正により、パワハラに起因する問題に関して雇用管理上必要な措置を講ずべき義務の規定が盛り込まれました。


安全配慮義務・職場環境維持義務とは

– 使用者は、労働者の生命・身体などの安全を確保しつつ、労働することができるよう必要な配慮をする安全配慮義務を負います。

– 使用者は、労働者が働きやすい職場環境を整備し保つように配慮したり良好な職場環境を整備したりすべき信義則上の義務を負います。

– 会社は、職場におけるハラスメントや職場におけるハラスメント類似の言動(グレーゾーン)が見られる場合には、これを放置せず、受け手の心身の健康が害されないように措置を講じ、働きやすい良好な職場環境を維持するように配慮しなければなりません。


ハラスメントのグレーゾーンを放置するリスクは大きい

会社は、ハラスメント問題が発生したら、ガイドラインには従いますが、問題は、グレーゾーンだった場合、ハラスメント問題に該当しないから放置しておいて良いと言うわけではありません。

むしろ、ハラスメントのグレーゾーンを放置したために、後から問題がもっと悪化して顕在化してきます。

このグレーゾーンを放置すると
– 職場における、明らかなハラスメントに発展する
-行為を受けたまま放置された者のワダカマリが解消されないで残ることで、上司や会社に対する信頼が失われる
– ストレスの蓄積により、受け手がメンタルに支障をきたす恐れがある
– ハラスメントを放置したことを知った他の社員にも、会社への信頼が薄れ、優秀な人材が流出する可能性
– ハラスメントを放置したことを知った他の社員が、同じ事態で、Me tooとハラスメントへ過剰反応を起こす可能性
– ハラスメントだと言われた管理職や、その周りの管理職が、部下への指導、注意をするとハラスメントと言われかねないと、指導をしなくなる危険性

などがあります。

ハラスメントの疑いがある、グレーゾーンでも、放置せずに前向きに原因を考えて対応していくことが、問題を未然に防ぐことにもなります。

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