新しい中学校に入学してから、子供が登校拒否になりました。どうやらいじめられている様子です。

地元の小学校に通っていたY君は、小学校では学級委員もやる面倒見のいいクラスの人気者でした。近くの中学校に入学し、交友関係も順調だと思っていたのですが、夏休みが終わった秋頃から、風邪気味だといい学校を休みがちになりました。理由を何度か聞いたところ、仲の良かったグループから無視されるようになり、ツイッターなどSNSでも、Y君を、”気持ち悪い””うざい”などとと中傷が書き込まれていました。

親として、すぐに担任に相談に行ったのですが、事実関係を調査する、まずは学校に来てくださいというだけで、一向に事態は変わりません。

いじめているグループの子供の名前は特定されています。どこに相談に行くべきか悩み、法律事務所に相談に行こうと思っています。いじめもやめさせたいですし、いじめている子にも重大さをわからせたいですし、対処しない学校にもなんらか手続きをとりたいです。


いじめ問題で弁護士にできること

教育的解決と交渉を図ることができます。基本的に子は、現行法では20歳未満は行為能力がないとされ、いずれの解決を図るにも法定代理人双方の同意が必要となります。そうすると、今後のあり方をめぐっては、法定代理人である親権者に対する交渉が不可欠になるでしょう。また、教育の現場で行われている以上、学校に対し事実関係を確認し、その上でたとえばクラスを変えてもらう、加害行為者にそのような行為をやめさせるなどの手段が考えられますが、いずれにせよ、将来的なことをみたうえでの和解・合意を図らなければならない以上、法定代理人との交渉が不可欠になりましょう。

交渉で行うこと
厳密には、子は、不法行為責任を負うことになります。不法行為責任とは、他人の権利を侵害してしまうことを言います。殴ってしまえば身体に対する損傷になるし、その結果治療費が生じ、また、精神的損害も生じ、また、場合によっては通院慰謝料が生じることもあるでしょう。もっとも、これらの支払いを受けたところで、抜本的解決を望むことは困難でしょうから、たとえば今後は接触を控えたり、謝罪文を書いてもらって和解するなど、合理的な対話が不可欠でしょう。

いじめの解決にむけて
いじめは、ある意味ではなくならないかもしれません。職場でこれが行われれば、ハラスメントの問題となるわけです。また、職場ではなくても、たとえば駅で暴行を受ければ不法行為責任の問題となり得るしで、たまたま学校内で行われる行為がいじめ問題といえるはずです。解決をするには、単なる慰謝料請求などの杓子定規的な議論だけでは対応しきれない問題を抱えているはずです。実は監督者責任と言って、実際に加害行為をした未成年者以外も責任を負うことがあるのですから、加害行為をした子ども以外も含めて、全体で話し合いをしていかなければなりません。

加害者との交渉
加害者との関係では、不法行為責任の成立があるかが問題となります。ただし、未成年者であることがほとんどですから、基本的には法定代理人と話をすることになりましょう。その際には、監督者責任を負う可能性が高いことも含め、慰謝料などに拘泥せず将来にむけてどうしていくか、合意を形成すべきでしょう。

民事調停
調停は裁判所において、中立な第三者が双方から話を聞く手続です。この手続では、書面や証拠に拘束されることなく、自分がしたいようにはなしをしたうえ、それを相手方に伝えてもらえます。また、非公開です。調停委員がどう伝えていくのかが問題ではあるものの、いじめ問題ではこれがもっとも適しているように思われます。

損害賠償請求訴訟
調停が不適切であったり、証拠がたくさん揃っていて、責任追及をしっかり果たしたい、交渉が不誠実なものにとどまってしまったなどの事情がある場合には、むしろ訴訟提起のほうが適している可能性があります。ただし、これらは教育現場において今後を見据えた解決を図りたい場合には適切でないことも多く、公開の法廷で行われることから、責任追及をしっかり果たしたい場合に限定するべきと考えられます。


>

セクハラ・パワハラ・マタハラなどハラスメントに悩んでいる人に、ハラスメント関する、有益な情報を総合的に提供するポータルサイトです。
日本ではハラスメント問題が多いにも関わらず、被害に遭われた方が泣き寝入りをしていることが多いのが現状です。セクハラを受けて悩んでいる方、身に覚えがないのに加害者になった方、従業員にハラスメント問題があったと通達を受けた企業の方、に正しい法律の情報をお届けします。

このサイトは、ハラスメント問題に強い、弁護士 齋藤健博が、運営監修しています。銀座さいとう法律事務所は、年中無休で相談を受け付けています。1人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。