性同一性障害の男子学生が、大学で女子トイレを使ったところ、謹慎処分をうけました。

私立大学に入学した男子学生のTは、性的少数者であるゲイでした。性同一性障害を隠すつもりもなく、周りの友人は女性として大学生活を過ごすTを、暖かく受け売れていました。

大学のトイレは、女子トイレを使っていたのですが、ある日、私立大学の職員に注意されました。しかし、男子トイレを使うことができず、そのまま女子トイレを使っていたところ、大学から謹慎処分通知を受け取りました。

これはアカデミック・ハラスメントであり、トランスジェンダーへの配慮がないことを大学に配慮を求めたいと考えています。これは、ハラスメントでしょうか?


考え方ととりうる対応

大学において、異性であることを自認する学生を生物学上の性別とは異なる性別において受け入れる大学があるように、トランスジェンダーに対する適切な対応をしなければ、アカハラが成立してしまう可能性があります。

現時点では、学習研究活動の妨害、卒業・鍼灸の妨害、指導の放棄や指導上の差別などに限定して捉えられる傾向のあるアカデミックハランスメントですが、とくに学生・教員間のハラスメントは、ゼミや研究室に所属する学部生ないし大学院生に対して多く見受けられます。

まず、本件においては、とりわけ学習・研究活動の妨害に該当するおそれがあることを指摘すべきです。

もちろん、謹慎処分通知がどのような事実関係を主張した上でその処分を下したのか、たとえば実は女子トイレに入っていった目的や動機が、正当なものではないのであれば、不相当な処分に該当する可能性はあります。

また、トランスジェンダーに対する理解や配慮を全く欠いていたと判断されてしまう可能性がある場合には、大学運営側の責任が問われるおそれもあるでしょう。とはいえ、急に物的設備を改善することは難しいでしょうから、たとえばトランスジェンダーであって、生物学上の性別とは異なる施設の利用を希望数場合には、届け出などをすることができる制度にしておくなど、工夫をすることは必要である点も重要です。

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