ご相談内容
衣料品メーカーで営業をしています。営業でも、取引する企業の種類によって、いくつかの部門に分かれています。
今の部門は、取引先の方も友好で、いい成績をあげていたのですが、ある日人事に呼ばれて、私の将来の仕事の幅を増やしたいからという理由で、同意なく隣の営業部門に配置転換されました。
異動先が嫌だというわけではないのですが、会社が自分に何の相談も、同意もなく、異動を命令してきたことに納得がいきません。
会社は、社員であれば誰でも、どこの部門にでも、配置転換できる権利があるのでしょうか。
雇用契約
雇用契約とは、労働者が、使用者に対して労務を提供し、使用者は、労働者に労務の対価を支払うものです。
会社が、労働者の労務を、買い取っているわけです。つまり、雇用契約により、会社はその労働力を「原則として自由に使う」ことができます。
ここで自由に使うと言っても、どこで使うかということが人事異動の問題になります。
人事異動
会社において、人事異動とは、会社にとって最も最適であり、労働者が力を発揮できるであろう場所に、人を配置することです。
人事異動には、大きく分けて4つの形態があります。ただしこれを組み合わせているようなものもあります。
1.配置転換
勤務地の変更はないが、業務内容を変更する
2.転勤
勤務地を変更する
3.出向
会社の変更はないが、長期間にわたって、他の会社の業務を行うこと
4.転籍
在籍している会社を退職して、他の会社と雇用契約を締結すること
企業内か企業外か
雇用契約は、労働者が特定の会社と契約を締結しますので、労働者は他の会社で働くことは想定されていません。
つまり、上記の1と2に関しては、企業内の人事異動であり、会社が対価を支払う労働力をどこで使うかということなので、本人の同意は必要としていません。
しかし、3と4のような長期間の出向や転籍は、労働者が雇用契約を締結していない会社で働くため、本人の同意が必要となります。
部門の異動
今回のご相談者様の場合は、職種も勤務地の変更もない、部門間の異動であり、しかも会社が本人の適正と将来を考えての異動ということですので、基本的には、本人の同意は必要とせず、異動を命じることができるでしょう。