反省を促す始末書
会社は、社員が何からの規定違反をした場合、再発防止を目的として、始末書の提出を命じることがあります。
始末書は、反省文、顛末書などと呼ばれることもあります。始末書を提出すること自体は、管理者が使用者の人事管理の一環として行われる行為であり、違法ではありません。
これ自体は、パワハラではありませんが、無理やり書かせる、始末書を書かないからと言って人事処分を行うなどがあると、パワハラと評価されることもありますので、注意してください。
始末書提出を拒否
ある運送会社で、従業員であるトラック運転手が、髪を派手に染めてきたので、黒くするよう命じました。
トラック運転手は、少しだけ黒くしてきたものの、運送会社の管理職は、これを十分とせず、さらに始末書の提出も命じました。
トラック運転手は、黒くしたので十分であり、始末書を書く必要はないと拒否したところ、運送会社は、彼を解雇した事件があります(福岡地裁小倉支部平成9年12月25日仮処分)。
やりすぎの始末書は合理性がない
今回の事件では、髪の色を黒くするよう命じられたトラック運転手は、多少は、目立つ風貌を自粛する行動にでたにも関わらず、より反省を促す始末書を書かせる行為は、「企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内」ではない、と判断されて、トラック運転手の解雇は無効になりました。
始末書を強要する行為は、懲戒権の濫用とされているのです。始末書は、その内容からしても、やはり慎重に考えなければならないでしょう。