ご相談内容
結婚5年目で一人子供がいます。仕事に戻りたく、再就職をするために、会社の採用面接を受けたのですが、その時に人事から「2人目の子供の予定はありますか?もし、出産したら育児休業をとりますか?」と聞かれました。
その時は、あると答えると落とされると思い、「ありません」と答えました。そしたら、人事から「わかりました。では、仕事を覚えられるよう会社も投資するので、頑張ってください」と言われて、採用されました。
本心は2人目がほしいと思っており、会社に嘘をついて採用されたため、もし妊娠した場合何か罰則があるのでしょうか。
罰則はありません
そもそも会社の採用面接時に、妊娠出産の予定があるか、という質問をすることは、個人情報の収集の観点から不適切です。
均等法では、事業主は、採用時に性別を理由にする差別を禁止しています。つまり、女性特有の妊娠や出産について質問をして採用基準にしていれば、均等法に違反します。
特にご相談内容では、採用時に、人事から、妊娠出産をしないという発言を受けて、では投資するので頑張って働いてほしいという言葉があったので、これは均等法違反になる可能性が極めて高いです。
従って、採用時に、妊娠出産をしないという発言をして、その後妊娠出産しても何も罰則はありません。
採用時の機会の均等
企業は、契約締結の自由があり、雇用者をどのような条件で雇うかは、原則として自由です。しかし、均等法5条では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく、均等な機会を与えなければならない」として、性別を理由にした差別を禁じています。
特に、平成18年厚生労働省告示第614号では、男女間での異なる扱いとして、採用面接時に、結婚の予定、子供が生まれた場合の継続就労の希望など女性のみに質問すること、をあげています。
採用面接時における質問
採用面接時における不適切な質問は、採用にあたっての個人情報の収集の観点からも注意が必要です。労働者の個人情報は、業務に必要な範囲内であるべきです。ただし、本人の同意がある場合には、この限りではありません。
しかしながら、採用する側にとって、出産後も継続勤務できるかどうかは、関心事であることは間違いありません。その場合、結婚、妊娠、出産など女性特有の情報を聞くのではなく、本人の継続勤務の意思を、男女関係なく質問するのがよいでしょう。
なお、会社側も、今後勤務させるにあたって婚姻後出産の予定などが人知の配置などの関係で関心事項であることは十分理解できるのですが、本来は個人の問題であるともいえることから、尋ね方の問題は慎重になるべきでしょう。今回のような聞き方は直截的に過ぎるとも言えます。