ご相談内容
会社の人事課に、勤続2年目の女性社員から、上司からセクハラを受けたという内容証明が送られてきました。
卑猥な言葉を投げかけられたとか、身体を触られたと書いてありますが、2人きりの会議室のできごとで、証明できません。
この先、裁判になることを恐れています。まずは、どのように対応したらよいでしょうか。
裁判になると
ハラスメントで裁判になると、裁判所は当事者間の主張と、主張を裏付ける証拠をもとに判断します。
今回のご相談者様の場合は、女性社員が会議室でセクハラを受けたと主張されているので、事実は当事者にしかわかりません。
そのために、お互いの主張をよく聞いて、それらを裏付ける状況証拠を集めていく必要があります。
状況証拠
密室で行われたからと言って、何も証拠がないということではなく、例えば、被害者の女性は、セクハラを受けたことを、家族や友人に相談しているかもしれません。その相談内容が、ラインやメールで残っている場合、それらも証拠になります。
または、その上司は普段は、被害者である女性社員にどのように対応していたでしょうか。もしかしたら、その上司が、他の社員に対して、その女性社員に対して好意をもっている発言をしているかもしれません。
これらの状況証拠を集めることによって、密室で行われた行為であっても、その信憑性を裏付けることができます。
さいごに
ご相談者様は、人事として社員から内容証明を受け取ったのですから、まずは、その女性社員と話をして、内容を確認してください。
加害者であるとされる男性社員や、その周りの社員や関係者からも、事情を聞くことも重要です。それらの情報を正しく集めて、どちらかに偏らずに、真実を明らかにしていきましょう。
また、実際に裁判となると、訴える側に立証責任があります。密室で行われたとしても、加害者として、主張内容が事実かどうかを証明しなければなりません。
まずは、被害者である女性の話を聞いて、今後どうしていきたいかなど、気持ちを聞く機会を作ってください。
とりわけ、会社の人事課に、勤続2年目の女性社員から、上司からセクハラを受けたという内容証明が来た状況で焦ってしまうのはわかりますが、焦るより、まずは会社として事実を調査し、冷静に振り返ることができるとなおベターでしょう。