ご相談内容
会社で部署が異動になり、移動先の上司が部下へのパワハラで有名な人でした。同僚も、なるべく上司と接触しないように行動しています。私は、あまり要領がよくないので、仕事で小さいミスをすることがあり、その度に、その上司に大きな声で怒られます。
若い女性の前で、「こんなミスするなんて、お前はバカか」「小学校は出たのか」などと、職場で聞こえるように、何度も怒鳴ってくるので、毎日会社に行くことが苦痛で仕方ありません。
先日、出社途中で具合が悪くなって、5分遅刻したところ、上司は私に対して、部門の人全員を宛先に入れて、「遅刻するとは、社会人として失格である」とメールを一斉配信しました。
確かに、ミスをしたり、遅刻をしたことは、私に非があるのですが、職場の人々の前で怒鳴られたり、全員にメールするなどの言動は、パワハラではないでしょうか。
指導とパワハラ
会社でのミスは、会社の売上や士気に影響を及ぼし、悪い場合は、会社の存亡の危機になることさえあります。それを防ぎ、会社へ貢献するために、上司は部下を指導するという役割もあります。
上司が部下のミスを、そのまま放置すること事態が、上司の業務怠慢と見做されかねません。したがって、上司が部下のミスを指摘し、改善を促すために、叱責するということ自体はパワハラには該当しません。
ただし、この叱責が、必要以上に相手に苦痛を与えるものになっていれば、パワハラに該当する可能性が高いでしょう。
本人のミスならば、周りの同僚を巻き込ますに、1:1で注意すれば、十分目的は果たせます。
メールリストでの叱責
部下の問題点をメールで叱責、または注意すること事態は、通常の業務の範囲になるでしょう。
特に、今回は、遅刻をした、理由はあったにせよ、事前に知らせる手段はなかったか、その遅刻によって周りに迷惑や悪影響を与えていないかを、本人と話し、今後の対策を考えることは必要です。
ただし、この叱責や注意も、他の職場の人に知らせて、攻撃する必要はありません。
相手への苦痛
パワハラに該当するかどうかは、該当行為が、通常の業務の指導の範囲を超えていないか、また叱責するといううことは、相手に大きな苦痛を与えるものです。
人前で叱責されることは、誰しも精神的に影響があります。その点を考慮して、たとえ部下のミスであっても、指導を行うよう慎重に行動すべきでしょう。
したがって、人前で大声で叱責する、メールに関係ない人を入れて人格を否定するような送信をした場合は、パワハラに該当すうる可能性が高いでしょう。メールやラインなどのコミュニケーションツールは身近な分、証拠にされやすい性質を有しているので、切り出され方次第で独り歩きされてしまうリスクがあることは事実です。