ご相談内容
物流で小さな会社を経営しています。昨今の経済状態の煽りを受けて、経営が厳しくなり、人を増やすことはできず、多くの仕事を数名でこなしています。
全員同じ状況で、早朝から深夜まで働いているのですが、最近入社した男性社員が、激務に耐えられないと言い出して、無断欠勤が続き、その後診療内科に通院しているので、休職したいと言い出しました。
会社では、これ以上人も雇えないのに、一人休まれただけでも、経営難に陥ります。
かわいそうだとは思うのですが、休職している社員に給料を払う余裕はありません。なんとか説得して、自分から退職してもらいたいのですが、方法はないでしょうか。
解雇することはできません
労働基準法19条では、「労働者が業務上理由で病気にかかり、療養している場合は、使用者による解雇はできない」と定めています。
したがって、今回のご相談の場合、業務が理由でメンタル疾患にかかったということが明確ですので、当該社員を解雇することは禁止されています。
仕事の内容を見直してみる
今回、ご相談者様の会社の社員は、診療内科に通院していること、本人から休職したいという申し出あるということですが、まず、ご本人と話し合ってみて、今より仕事を減らす、軽微な業務内容に変更するなどが、可能かを相談してみるのはいかがでしょうか。
突然、休職されては、会社としても損害が大きいですし、本人も収入が減ってします。症状をよく聞いて、どこにストレスがあったのか、業務内容なのか、時間なのか、人間関係か、などの問題点を少しでも減らせるようにすることで、メンタルも回復することもあります。
また、すでに診療内科に通っているということなので、かかった医師や、もし契約している産業医がいれば、医師と相談して意見を求めることも重要です。
さいごに
それでも、病気が回復せず、業務の継続は不可能であると判断されれば、社員を休職させてください。会社の業務が原因で休職する場合には、労働基準法26条に、「休業中期間中の給与は、6割を支給する」と定められています。
当該社員は、会社のために働いて病気になったのですから、まずは、早く病気を直して、会社の戦力となるよう支援をしてあげてください。
やはり、解雇したい、諭旨解雇をしたい場合には、処分や判断を焦りがちになります。本人の話を丹念に聞き、双方が合意に至る形で雇用関係の解消に至るのが望ましいことは、指摘ができます。