裁判例
会社勤務の女性が、上司である男性からしつこく誘われて、ドライブや飲食に行き、月一回程度性交渉をもっていました。
社内でも、体に触られるなど、セクハラ行為を受け続け、はっきりと拒否すると、男性は女性に仕事で嫌がらせをした事件があります(東京地裁平成24年6月13日判決)
同意の不倫かセクハラか
女性は男性に対して、セクハラ行為を止めるように、誓約書を書かせた後も、男性のわいせつな行為は続いたために、女性は心身に不調をきたし、休職をやむなくされ、そして、休職後退職に至りました。
女性は、セクハラ行為を繰り返した男性と会社に対して、慰謝料1500万円、仕事ができなくなったことによる逸失利益2年分を請求しました。
男性と会社側は、女性から積極的に性交渉をもってきたこと、男性に対して「2番目の女は嫌だ」という言葉が何度かあったことからも、2人の関係は合意に基づくものであると、セクハラではないと主張しました。
判決分から
判決では、女性と男性の会社での関係は、上下関係にあり、2人の関係は合意にもどつく不倫関係とはいえず、男性のセクハラ行為があったことを認めました。
しかし、女性は30代後半で子供もおり、社会経験が十分あり、セクハラ行為をうけたとしたら、会社、労働組合、周りの人に相談しているはずであるが、誰にも相談していないこと、また、2人の録音された会話では、男性の性的発言に対して、女性も合わせているとも指摘されています。
これらを考慮して、男性からのセクハラとして、慰謝料220万円は認められましたが、逸失利益については、却下されました。
セクハラに対する慰謝料を認めているものの、実態に沿った形での解決、すなわち、会社を辞めることになって本来であれば得ることができた利益までの請求ができなかったのは、気になるところです。