ご相談内容
会社の社員の一人が、業務が合わないストレスから、会社の産業医と相談の上、診療内科に通院していましたが、休職が必要との診断書により、半年間の休職を取得しています。
会社の就業規程に従って、病気休職を取得しているので、そのことは問題ないのですが、長期間の休職をとっている社員に対して、どのようにケアをしていたらよいでしょうか。
頻繁に連絡すると、仕事を思い出して、病気が悪化することも怖いですし、かと言って、長期間連絡を取らないのも、会社が無視していると思われるのも、逆に心配です。
休職中の連絡や報告
休職中の社員は、労務提供義務がありませんから、労務を理由として、会社は報告を強制することはできません。
そのために、休職中に、病状の報告や復帰への意思の連絡をどのように取るかについては、休職前にあらかじめ、取り決めておく必要があります。就業規則に記載しておくとよいでしょう。
特に、メンタルヘルス疾患にかかっている社員が休職中に、連絡をとるのは、ご相談者様のように、さまざまが意見があるところです。会社に病状の連絡をとることが、病気の悪化につながる恐れもある一方、たとえ休職中でも、会社の一員であることには変わりはないのですから、ある程度現状を報告する義務があるという見方もできます。
また、会社が社員と長期間連絡をとらないことにより、社員が休みという環境に慣れてしまい、病気がよくなってきても、会社への復職の意欲が低下してくる、復職のタイミングを逃すこともあるでしょう。
従って、会社としても、定期的に、病状の様子や復職への意欲を確認しておく必要があります。
メンタルヘルス休職
メンタルヘルス疾患による休職は、時期は人によってさまざまです。1ヶ月程度で復職する人もいれば、1年以上病状が安定しない人もいます。
ただし、半年を超えるような場合は、会社の就業規則で定めた、最大の休職期間を超えてしまい、退職を余儀なくされる場合も多くあります。
期間もさまざまですが、一般的に、普段仕事に従事していた人が休職にはいった場合、3段階の心の変化があると言われています。
第一段階
メンタルヘルス疾患になる人の特徴でもありますが、多くは仕事に対して真面目すぎて、責任感が強過ぎる傾向にあります。
そのために、会社を休みはじめても、最初のうちは、仕事が気になって仕方がない期間があります。自分が休んで何か起こっていないか、誰か困っていないか、迷惑をかけていないか、などを考えながら過ごすために、眠れなかったり、なかなか休養がとれないようです。
第二段階
仕事が気にかかる段階を過ぎると、やっと心の休息の段階が訪れます。
このとき、1日中寝てすごしたり、または考えこんだり、人によっては一日中泣いて過ごすという、メンタルヘルス疾患の悪い部分がでてきます。この時期は、心が不安定になるといわれています。
第三段階
メンタルヘルスの悪い部分が吐き出された後は、ようやく、「何かしたい」「行動したい」「どこかに出かけたい」という健康的な気持ちが出てきます。
この段階では、外に食事に行ったり、映画をみたりするようになり、この状態を少しずつ長くしていくことが必要です。
会社との連絡
あらかじめ取り決めた会社との連絡時期や方法は、最初の段階では、その通りにならないこともあります。
会社としては、本人の病気の回復が最優先ですから、無理に決められた約束をまもろうとせず、ゆっくりと見守ってあげてください。
本人から「旅行にいきたい」という相談をうけることもありますが、休職中なので、行動は自由ですので、「常識的な範囲で」と回答するのがよいでしょう。
会社は、産業医や本人の受診している専門医などと相談しながら、復職に向けて、本人の意思を確認しながら、準備を進めてください。ただし、重要なことは、急激に処理を進めるのではなく、会社担当者・当該本人と、双方が納得のうえでひとつひとつの処理をしていくことが肝要です。