ご相談内容
数ヶ月間付き合った彼女がいましたが、もっと好きな人ができてしまい、彼女に別れてほしいと伝えました。彼女は、納得できず、別れないと何ヶ月か揉めましたが、ひたすら謝って最終的には交際関係を解消できました。
最近になって、また彼女から電話がかかってきて、やっぱりまだ好きだと言われたので、もう自分は他の女性と交際しているので、こういう電話をやめてほしいときっぱり伝えた途端、翌日から毎日何度も電話がかかってきます。
夜中も数十回と電話を鳴らされていますし、昼間の非通知電話だと、仕事の関係もあり、とらなければならない時もあります。
このままでは、仕事と生活に支障をきたします。どうしたらいいでしょうか。
ストーカー規制法
平成12年11月24日から、「ストーカー規制法」が施行されています。
ここでのストーカーは、「つきまとい等」「ストーカー行為」を規制の対象としています。
では、どのような行為が「つきまとい等」や「ストーカー行為」になるでしょうか。
「つきまとい等」は、以下の行動をいいます。
1.つきまとい、待ち伏せをし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他通常所在する場所の付近において見張りをし、または住居等におしかけること
2.その行動を関ししていることを思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態におくこと
3.面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること
4.著しく粗野または乱暴な言動をすること
5.電話をかけても何も告げず、または拒まれたにも関わらず、連続して、電話をかけ、もしくはファクシミリ装置を用いて送信すること
6.汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるうような物を送付し、またはその知り得る状態におくこと
7.その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと
8.その性的羞恥心を害する事項を告げ、もしくはその知り得る状態に置き、またはその性的羞恥心を害する文書、図面その他の物を送付し、もしくはその知り得る状態に置くこと
「ストーカー行為」は、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うこをいいます。
一日も何度も電話をかけてくる行為
ご相談者様のように、交際関係を解消した相手から、何度も電話をかけてくる行為は、特定の者に対して、恋愛感情がみたされなかったことに対して、怨恨の感情から、拒まれたにも関わらず、電話をかけてきていますので、ストーカー行為に該当するでしょう。
特に、電話がかかってきた行為を、「明確に拒否して」していることも重要です。
対応策
ストーカー被害にあったら、まずは、住所地の警察に行き、つきまとい等に係る警告を求める申し出でができます。
警察に所定の「警告申請書」がありますので、そこに必要事項を記載して提出してください。これにより、警察が相手に警告をし、自覚を促し、自発的につきまとい等の行為をやめさせる目的があります。
警察からの警告があっても、それを無視し、何度も同じ行為を行った場合は、警察は相手に対して、都道府県公安委員会の聴聞の上、禁止命令を出すこともできます。禁止命令は、罰則がありますので、もし違反した場合は、逮捕することもできる効力をもっています。
また、緊急性がある場合は、聴聞または弁解の機会を与えず、当該行為を禁止する「仮の命令」を発することもできます。
当該行為が、あきらかにストーカー行為と認定される場合には、告訴により、警察は、警告や禁止命令を待たずに、逮捕することもできます。逮捕された場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金があります。
援助(助け)を求める申出
ストーカー行為にあっている被害者は、警察に対して、被害を自ら防止するための、援助を求める申し出ができます。
警察に、定形の「援助申出書」があるので、そちらに記載して提出してください。
この援助には、ご相談者様のように電話が何度もかかってきて生活がおびやかされている場合には、警察施設を通じて被害防止交渉を行ったり、電話の録音や通話記録の収集などの援助をうけることができます。
それ以外には、加害者の氏名、住所などをおしえてくれる、被害防止交渉の仕方、ストーカー防止のための支援センターの紹介、防犯ブザーの貸し出し、ストーカー行為等の警告、禁止命令を出したことを証明する書面の交付などの援助を受けることができます。
警察側は、この問題に関しては迅速に動いてくれることがほとんどです。