ご相談内容
大企業の管理職をしています。目標達成やプロジェクトで、社員は、全員毎日深夜まで残業が続き、最終電車で帰る人や近くのホテルに泊まる人もいるのが現状です。
できるだけ早く帰るようには促していますし、社員をもっと増やすよう募集もしていますが、すぐには改善されません。
部下には女性も2割くらいいて、既婚者が一人とあとは全員独身女性です。既婚者の女性も、男性同様に残業続きの生活を送っていたのですが、先日彼女から、残業続きで辛いし家庭生活に影響がでるので、仕事を減らしたいと相談がありました。
相談を受けて、彼女の仕事の一部を他の人に渡せないか検討することや、なにか早く帰れるよう前向きに相談にのっていたのですが、家庭生活を主張するので、何気なく、「子供を作る予定があるの?」と聞いたところ、黙ってしまいました。
後日、女性が会社の人事に相談に行き、子供を作る予定があるか聞かれて、まるで、仕事が忙しいので作るなと言われたようで、余計ストレスを感じて、食欲がなくなり眠れなくなったとのことでした。
部下に、妊娠予定を聞くだけで、これがハラスメントになるのでしょうか。
マタニティハラスメント
マタニティハラスメント、通称マタハラについては、社員への教育が徹底していない会社も多く見受けられます。
セクハラやパワハラは、会社の研修でとりあげられることもありますが、女性特有のハラスメントであることから、知識が周知されにくいのが現状です。
マタハラは、明確な定義はありませんが、上司や同僚からの妊娠や出産、育児休業等に関する言動により、妊娠・出産に関係した女性労働者や、育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることをいいます。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法では、
– 妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止
– 上司・同僚からの妊娠・出産に関する言動により、妊娠・出産をした女性労働者の就業環境が害されることがないよう防止措置を講じなければならない
ことを定めています。
企業は、職場におけるマタハラを防止するため、この男女雇用機会均等法により、雇用管理上の措置を講じることが新たに義務づけられました。
マタハラの知識を徹底する
管理職だけでなく全社員に、マタハラに関する知識を周知させないと、トラブルが生じやすくなります。
マタハラは、妊娠した女性、育児中の女性だけに生じる問題ではありません。
今回のご相談者様のように、妊娠した女性が誰もいない職場でも、妊娠や出産を阻害するような言動、環境も、マタハラに該当します。
本人は、相手のためを思って、また仕事への影響を考えて、妊娠や出産した場合に備えなければという、軽い気持ちで、「妊娠の予定」を聞いているかもしれませんが、聞かれた女性は、妊娠したらいけないのか、妊娠したら仕事を奪われるのか、と考えたり、また不妊治療中でその話題に触れたくないのかもしれません。
まずは、健全な家庭生活を維持することが困難な職場の状態を早急に改善することが重要ですが、朝令暮改とも言えないと思いますので、セクハラ・マタハラを防止するポスターを張るなどでも改善した事例が多いように感じています。