ご相談内容
一昨年、会社の育児休暇制度を利用して、第一子を出産後、1年間休職を取得しました。
子どもを保育園に預けて、会社に復職したのですが、保育園のお迎えが17時までなので、10時から16時までの時間短縮勤務や、ましてや残業はできないことを上司に申し出たところ、こんなにみんな毎日忙しく、アルバイトの方も残業しているほどなのに、正社員として、アルバイトより高い給与を払って時短勤務は認められない、正社員をやめてアルバイトになってはどうかと言われました。
確かに職場の仕事は忙しく、時短勤務で仲間に迷惑をかけることになるのですが、私は退職しなかればならないのでしょうか。
制度の利用
女性労働者が、制度などの利用の請求をしたことにより、上司が該当女性労働者に対して、不利益な取り扱いを示唆することは、「制度などの利用に関する言動により就業環境が害される典型的な例」に当たります。
ご相談者様のように、制度として、育児休職を取得することが認められているにも関わらず、その制度利用に関して疎外するような言動があることにより、就業環境が害されることは、「解雇などその他不利益取り扱いを示唆するもの(育児・介護休業などに関するハラスメント防止指針)」に該当します。
価値観の違い
ご相談者様は、育児休暇を取得する制度があるわけですから、上司が、アルバイトへ変更するように圧力をかけられようと、取得する権利はあります。
しかし、このようなマタハラが起きる背景には、価値観の違いもあると思われます。
子どもがいない人にとっては、同じ給与で働いているにも関わらず、短い時間しか勤務しないこと、忙しいときにも残業しないことについて、不満を持つこともあるでしょう。
そもそも、長時間労働のもと、全員が同じように働くことが平等だと考えた場合、制度を利用しないからは、制度を利用している人に対して「頑張っていないから」「評価を下げるべき」「仕事を休むことは迷惑をかけること」「仕事を休むことは悪いこと」という気持ちを職場でもっていると、嫌がらせを許容する風土になりかねません。
会社がすべきこと
長い間仕事をしていく期間には、子どもだけでなく、介護や、本人の病気など、仕事に長時間使えない時が、誰しも訪れます。
これらを理解して、一時期時短をするならば、仲間で助け合える職場環境であったり、会社としては、人材を雇用して全員に長時間労働を強いる環境を作らないようにすることが大切です。
会社は、マタハラが起きる原因や背景を理解して、周知啓蒙することはもとより、将来的には安心して働ける環境を整備することが、将来にわたって、人材を育成し、会社の成長につながります。