社長からセクハラを受けて、奥さんから罵倒されました パート1

事件の概要

薬局で勤務するアルバイトの女性が、薬局の経営者である社長から、セクハラを受けました。

女性は、薬局で働き初めてから、以前はコスプレ店で働いていたことや、スナックでも勤務していたことなどを社長に話していました。勤務中、社長からは、体を触られ、無理やりキスをされる、セクハラをうけ続けました。ホテルに誘われても、拒否していると「(アルバイトの)代わりはいくらでもいるんだから」と言われて、強く言えずに悩んでいました。

女性は、社長のセクハラ行為を他に見ている人いなかったため、社長から受けたこセクハラ行為を、ノートに細かく記載し、不快感をもったことを書きづづっていました。

入社して半年たった頃、同僚に「社長からセクハラを受けている」と話したところ、社長の妻に伝わり、今度は、社長の妻から「あんたのせいで家族の人生が台無しにされた」「あんたも楽しんだのだろう」「うちの人がいやらしいことをしたのは想像つくけて、あんたは黙っているべきだった」などと、罵倒されました。

その後、女性は退職を余儀なくされ、PSTDになり、心療内科に通院するまでになりました。

女性は、社長と薬局である会社に対して、2年分の休業補償相当額と慰謝料を請求しました。

第一審判決

平成17年3月31日福岡地方裁判所では、女性は、職場において上司と部下という上下関係にあり、強く言えない立場を利用して、明らかに性的変動を行っているものであり、これはセクハラ以外の何者でもないこと、この会話は、通常女性の部下とする範囲を著しく超えており、露骨な性的表現を含んでおり、社会通念上許容される限度を著しく逸脱している、としました。

証拠としては、女性のノートと発言をもって、社長の違法性を認めたものです。

その上、女性は、社長の妻から、人格を否定するような発言で罵倒され、精神的バランスを崩し、心療内科にも通院している、重大な事態だと、判断しました。

会社に対しても、ハラスメントを防止する対策もなく、従業員の安全配慮義務に違反していると、慰謝料500万円、弁護士費用60万円が相当である、としました。

ここでは、女性が書いていたノートが重要な証拠となり、その発言の責任、そしてその後の妻からの罵倒、退職、精神疾患にかかったことが、判断されています。

セクハラをうけたら

セクハラは、通常、当事者間しか知りえない状況で、発生します。セクハラを受けたら、強く拒否の意思表示をすることも大事ですが、そのセクハラの言動を、日時や状況を記録しておくことも重要です。

また、セクハラにあったことを、親しい友人などに話しておくことも、のちのちの証拠となりえます。また、友人だけでなく、公的機関である相談センターやまたは弁護士に相談する、また重大な場合は、警察に相談することもできます。その相談は、公的機関であれば、その記録も証拠となります。

セクハラに会ったら、一人で抱え込まずに、まずは誰かに相談してみる勇気をもってください。

この裁判例をみると、あきらめずに証拠をしっかり出していくのが大切だと理解できます。

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