妊娠等を理由に解雇
大阪地裁堺支部平成14年3月13日判決に、妊娠と通勤手当詐取などを理由に幼稚園の教諭が解雇されられた事件があります。
この事件は、幼稚園に勤務する女性が、未入籍で妊娠をして、切迫流産などの診断を受けて入院し、それを園長に報告したところ、軽率だと責められました。しかも、中絶まですすめられたため、女性は絶対安静にもかかわらず、幼稚園に出勤したことが原因で再度入院して、流産に至りました。
その後、退院したところ、園長からすでに後任はすでにいると、退職届の提出をしつこく迫られ、最終的に解雇されてしまいました。
被告側の主張
幼稚園側は、女性が未入籍のまま妊娠したこと、男性と同居するために住所を変更しながらもこれを届出しないで、今までとおりの通勤手当を貰い続けていたことが、教育者として不適格であると解雇したと主張しました。
不法行為であるとの判断
裁判例では、女性が未入籍のまま妊娠したという婚姻外の妊娠は批判的なものでありながらも、これを理由に、執拗に中絶を勧めたり、退職を迫る行動は、退職の強要及び解雇であるとしました。その上、女性は、この幼稚園側の行動により、流産するという辛い状態にも陥り、このような一連の行為は不法行為責任であると判断しました。
また、幼稚園側に転居をしらせず、今まで通りの通勤手当を詐取し続けたことは、確かに服務規定に反しますが、もし入籍せず男性と同居したと報告すれば、激しく叱責されることを恐れてのことであり、女性の服務規定違反の程度は重大ではないとも判断を下しました。
妊娠を理由とする解雇は違法
婚姻中であろうと婚姻外であろうと、妊娠した労働者に対して、妊娠を理由に退職の強要または解雇を迫る行為は、労働基準法で保護されている産前産後休業自体を否定するものになります。