考え方と対応について
就職活動中の学生が企業の社員からセクハラ被害をうけている場合もよくあります。学生にとっては、企業の面接官やその社員は、将来の内定がかかっていて、泣き寝入りせざる得ないケースがあり、この問題は拡大傾向にあります。
そもそも、セクハラという概念は、職場において問題となることが多い概念です。厳密な意味では、職場ではありません。
というのは、セクハラの一般的な定義は、職場において、労働者の意思に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇や降格、減給などの不利益を受ける場合、もしくは性的な言動が行われることによって職場の環境が不快なものとなったことを原因い、労働者の能力の発揮に悪影響が生じることを言います。したがって、厳密な意味では、雇用契約締結の準備段階にある以上、セクハラとは言えないようにも思えます。
しかし、実は、均等法5条により、事業主には、募集及び採用について女性を差別することを禁止し、労働者の募集及び採用について女性に対して男性と均等な機会を与えることを義務付けています。この義務に事業主が違反するかは別として、就職活動の局面では女性労働者ばかりがセクハラの被害にあう現状を考慮すると、不法行為責任が成立し、慰謝料請求ができる可能性が高いといえましょう。
とりわけ、セクハラは、支配従属関係や上下関係にある人間関係間において横行する性質のものですから、本件のようなすでに雇用されている社員が、雇用されようとする、将来の同僚に対してセクハラ行為をすることにより、不法行為責任が成立する可能性は極めて高いのです。
また、これらが判明した場合、懲戒解雇の可能性を秘め、また、横行しないよう、事業主ガイドラインなどを明確にする、とりわけ就職活動の現場におけるセクハラに関する性的な言動や行動をとった者に対しては厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則に規定した上で、管理・監督者を含む労働者全体にゆきわたらせておく必要が生じてきましょう。