妊娠を会社に告げて迷惑をかけるのが怖かったため、体に負担をかけて流産してしまいました

「妊娠したなら辞めろ」という風潮の会社でした。

そのため、妊娠を会社に告げずに仕事したら、無理をしたせいで流産してしまいました。2回目の妊娠で、職場環境を変えたいという思いもあり、妊娠をつげたところ、やはり会社を辞めて欲しいと何度か迫られました。

会社側は、女性の体を気遣っての発言と対応だと主張しています。

最初の流産時と合わせて、会社に改善してほしい意味もあり、慰謝料を請求し継続して勤務したいのですが、可能でしょうか。


妊娠したら仕事を辞めろという会社に対して

マタニティハラスメントが成立している可能性が高いです。

慰謝料の請求は、今後会社に居続けることを考慮することを考えると、慎重に判断するべきですが、流産という重い結果をふまえると、十分あり得ると思います。

厚生労働省は、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益扱いを禁止し、事業主が行う労働契約上の解雇・減給・降格・不利益な配置転換・契約を更新しない行為を禁止しています。これらは男女雇用機会均等法9条3項にも定められていて、不利益扱いを合意したとしても、強行規定と言って、合意を破ることができるとされています。

実際に、最高裁も、広島中央保健生協事件(第一小判平成26年10月23日民集68巻8号1270頁参照)において、同様の趣旨を判示しています。妊娠を会社に告げずに仕事したのはやむないとして、流産してしまった結果は重大でしょう。しかし、2回目の妊娠で、妊娠をつげたところ、会社を辞めて欲しいと何度か迫られる行為自体は、妊娠をきっかけとして、退職という不利益処分を迫る・強要するものであって、マタハラが成立しています。

また、育児介護法10条は、事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないと定め、出産後の育児にも配慮をしています。

話をもどして、妊娠のみを理由とする解雇は、それ自体が男女雇用機会均等法9条3項に定める「不利益な取り扱い」に該当するので無効です。裁判例の中には、従業員の解雇において、妊娠等以外の解雇事由に客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められないことを認識し、あるいは、これを当然に認識すべき場合には、妊娠等に近接して解雇が行われた倍には男女雇用機会均等法9条3項や育児介護法10条に反する違法なものであると処分した裁判例もあります(東京地判平成29年7月3日労判1178号70頁)。

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