ご相談内容
会社で事務職をしている女性です。
同僚の女性が、私が上司と不倫をしている、周りの男性にも猥褻な行為をしている、外で男を誘っているなどと、ひどい噂を流しています。
その噂が原因で、職場で周りの人々が私を避けるようになり、仕事に悪影響がでています。実を言うと、上司と不倫しているのは事実なのですが、それ以外は事実無根です。
噂を流している同僚女性は特定できているのですが、法的対策はないでしょうか。
名誉毀損罪と不法行為
不倫している、また男性関係についても性的な噂を広める行為は、その女性にとって、社会的信用を落とし、その噂が広まることによって、今後の女性の仕事や社会的地位を毀損するものです。
このような行為は、刑法230条1項の名誉毀損罪に該当します。同条は「事実の有無にかかわらず」と記載されていますので、ご相談者様のように、不倫が事実かそうでないかは関係なく、名誉毀損罪は成立します。
実際に不倫していたかどうかは、男性の妻に対して、不法行為は成立しますが、名誉毀損罪とは無関係です。
もし、法的に対応されたい場合は、同僚女性に対して、名誉毀損罪として、告訴が必要となります。ただし、この場合は、その事実に関して詳らかになる恐れもあります。また、民法上の不法行為も成立します。
セクハラ
職場において、このような仕事に悪影響のある噂を流す行為をすることについては、セクハラにも該当します。
不倫している、男性関係において噂を流すことにより、ご相談者様が、職場で能力を発揮することができない、働く環境が悪くなっている、職場の周りの社員へも勤労意欲を削ぐ結果になっている、などは、職場の人間関係を悪化させている事態です。
これは、環境型セクシャル・ハラスメントであり、有名な事件として、福岡セクハラ事件があります。
福岡セクハラ事件とは、会社の優秀な女性部下を妬んで、男性関係の否定的な風評被害を流したことを理由として、その上司の不法行為責任と会社の使用者責任を肯定しました。「・・・働く女性にとって異性関係や性的関係をめぐる私生活上の性向についての噂や悪評を流布されることは、その職場において異端視され、果ては職を失うに至る結果を招来させるものであって・・・」と、環境型セクハラとしています。
女性によるセクハラ
今回のご相談者様は、女性が女性に対して、噂を流すケースもセクハラに該当するでしょうか。
均等法の施工通達は、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合も、均等法上のセクハラに含まれるとしています。
女性が性的噂を流されるということは、その噂を流した人が女性であろうと男性であろうと、被った被害は同じです。従って、同僚女性に対しても、不法行為は成立するので、慰謝料も視野に入ります。