はじめに
セクハラは、雇用関係にある職場環境の問題として、認められることが多かったのですが、最近は、職場以外の関係でも「人格権侵害」として認められています。
職場外環境 – 学校でのセクハラ
職場内以外でのセクハラが成立する例としては、学校内でのセクハラがあります。
裁判例では、大学の助教授と大学院生(仙台地裁平成11年5月24日判タ1013号182頁)や中学校の部活の顧問と部活に所属する女子生徒(前橋地裁平成14年6月12日)や小学校教諭と女子児童(東京地裁平成25年4月25日)や男子高校生から女子教諭(大阪地裁平成17年3月29日判時1923号69頁)という関係でもセクハラが成立しています。
職場外環境 – 顧客や取引先でのセクハラ
顧客や取引先との関係でもセクハラが成立します。
裁判例では、医師と保険会社の従業員(東京地裁平成19年9月28日)やマッサージ施術者と被施術者(東京地裁平成25年5月20日)、医師と患者(東京地裁平成27年8月28日)、弁護士と依頼者(東京地裁平成28年3月29日)という関係でセクハラが成立しています。
職場外環境 – その他
その他の環境でもセクハラは成立します。宗教法人の代表役員と信者、ケースワーカーと生活保護受給者、女性市議会議員と男性市議会議員、などです。
セクハラになりやすい関係性
セクハラの被害者と加害者の関係性は、以下のポイントがあります。
– 加害者が被害者より優位な立場にある
– 人間関係が閉鎖的
– 人間関係が継続的
– セクハラが行われる場所が密室
が多いです。
相手の意に反する性的行動が、社会的見地から不当であり、人格健侵害にあたる場合は、職場の関係限らず、セクハラが成立します。
要は、職場内部なのか、職場外部であるかは決定的な問題とはならないことに留意すべきです。