ご相談内容
8年勤務している女性会社員です。念願の子供ができたので、1年間の育児休業を申請した時から、上司から、戻ってきても同じ仕事はないから、辞めることも考えたら?と何度も言われていましたが、仕事を続けたいとはっきり伝えて、育児休職に入りました。
ところが、復職前になり、会社の人事に連絡したところ、休職前に所属しいてた部署もなくなり、社長から面接をうけてほしいと言われました。
社長からは、同じ部門も仕事もないので、継続は難しいと言われましたが、隣の部門でも同じ職種の仕事があり、その仕事をしたいと申し出しても、難しいなあ、と一点張りで話がすすみません。退職金も出すからと、退職願いの申請書も送られてきて、困っています。
すでに、復職日はすぎていますが、どうしていいかわかりません。
出産後の復職
出産、子育てだけでも、人生の重要な時期を過ごされているのに、予定していた復職が拒否されて、不安な毎日だと思います。
育児休職中に、会社の状況が変化することはよくあります。ただし、変化した中でも、自分の能力が生かせる仕事を、一緒に探す会社の姿勢が重要になってきます。
出産後の執拗な退職強要
女性会社員が、出産後に執拗な退職強要を受けて、退職を余儀なくされた事件があります(東京地裁平成27年3月13日判決)。
この事件は、輸入を行う会社の女性従業員が、会社に妊娠を伝えた途端、会社から出産後は退職するよう執拗に勧告されました。
女性は、労働局に相談するなどを行なったため、一旦、会社からは育児休業を取得することになりましたが、復職時に、会社から一方的に退職通知と退職金な送られてきて、結局、復職するこなく、2ヶ月後に退職が余儀なくされました。
女性従業員は、会社に対して、育児休業あけの賃金及び慰謝料を請求しました。
裁判例の判断
判決では、会社が女性従業員が、育児休業終了後、復職する意向であることを認識していながらも、就労させなかったとして、会社に対して、育児休業明けから退職までの約2ヶ月半の賃金の支払いを命じるとともに、会社による退職通知と退職金の一方的支払いは、不法行為であるとして、慰謝料15万円の支払いも命じました。
復職後の就労の意思を明確にする
今回のご相談も同様ですが、育児休業中、会社の状況が変化しても、就労するという意思を明確に伝えてください。
それでも、会社が話し合いに応じない、退職勧告をする態度をとる場合は、安易に退職を受けず、労働組合や弁護士に相談して、その会社での仕事を探すための話し合いを継続するべきでしょう。
ちなみに、解雇が無効であると判断されると、その間の賃料請求をものできることになり、その間の遅延損害金なども発生しえるところにも、実益があります。