産前産後休業と育児休業明けの復職
外資系旅行・金融会社に勤務する女性が、妊娠後、産前産後休業及び育児休業を取得しました。
復職にあたり、会社では女性に対して、退職を推奨しましたが、女性は強く復職を願ったため、会社では従前と異なる部署での勤務での復職を認めました。
休職前には、チームリーダーとして勤務していましたが、異なる部署では、時間短縮勤務で復職したところ、新しい業務に対応できず、チームリーダー格から最低ランクまで格下げされ、2ヶ月間の傷病休暇を取得するに至りました。
2年間の傷病休暇と療養休暇
女性は、その後も約2年間の、傷病休暇と療養休暇を取得し、労務可能な状態までに回復したために、復職を希望したところ、会社から、就業規則の休職期間満了にあたるとして退職扱いになってしまいました。
その後、女性は、会社に対して、雇用契約上の地位の確認と賃金の支払いを請求しました。
療養期間満了時「健康か」
改正後の就業規則では、新たに「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを復帰の条件としていましたが、これは、特に精神疾患の場合、一般的に再発の危険があり、完治が簡単ではないことから、「健康時と同様」を復職の条件とすることは、復職を極めて困難にするものであるとして、この改正は合理的ではないと、判断されました。
したがって、本件の女性の場合は、療養期間満了時には労務の提供ができる程度には回復していたとして、雇用契約が満了していないと判断しています。
復職にあたっての会社の対応
本件は、就業規則の変更した内容の合理性や療養期間満了時の労務の提供が可能かということが争点になっていますが、もともと、出産後の復職にあたって、会社が退職をほのめかしたり、新しい職場での女性の立場などの不安が、女性を療養に追い込んでいます。
産前産後休業や育児休業明けで、短縮時間勤務を希望する女性が、子育てと仕事を両立できるよう、会社側もよく女性と話し合って、勤務内容を決定していかなければなりません。