ご相談内容
大学卒業後、小さなデザイン事務所で働いています。仕事は気に入っていて、周りのスタッフにも恵まれて、将来、自分のデザイン事務所を持ちたいと言う夢もあります。
最近、夫とそろそろ子供を持つ話をしており、 出産を考えているのですが、子供がいるとなかなか常勤で働くのは難しいと言う話も聞いています。私は、夫も家事育児に協力してくれると言っているので、仕事のキャリアを継続したまま、子育ても仕事も変わらずやっていきたいと考えています。
気になっているのは、働いている職場が決して大きな企業ではなく、スタッフ数名でやっているデザイン事務所です。就業規則や、時短勤務等の制度も整備されていない状態です。
そのような状況でも、法律として、子育てをするために使える権利は 何があるでしょうか。
育児中の権利
最近は、母親だけでなく父親も育児休暇を取得する人も出てきています。
子供を育てながら、仕事を継続することは、これからの社会を支えるために必要不可欠です。
育児・介護休業法をはじめ、子育てを支援するための制度が定めています。
仕事をしながら、子供を育てていくためにには、保育園の送り迎えも必要です。保育園の定時までには、仕事を絶対終わらせなければなりませんし、子供が熱を出すこともよくあり、すぐに早退、休暇を取得する場合も出てきます。
また、仕事の関係で、会社から残業を命じられることもあるでしょう。このように、今まで自分の時間を自由に仕事に使えていたところが、子供を育てるための時間を確保しなければなりません。
時短勤務
3歳未満の子どもを育てるために、父親でも母親でも、性別を問わず、事業主は、短時間勤務制度を設けなければなりません。
短時間勤務と言っても、一日2、3時間でいいというわけではなく、原則1日6時間です。
時間外勤務
小学校入学前の子どもを育てる労働者から、請求があった場合は、事業者は、1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできません。
深夜勤務
小学校入学前の子どもを育てる労働者から、請求があった場合は、事業者は、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせることはできません。
残業勤務
3歳未満の子どもを育てるために、請求があった場合は、事業者は、残業をさせることはできません。
看護休暇
小学校入学前の子どもを育てる労働者から、請求があった場合は、事業者は、1年間で決まっている規定の有給休暇とは別に、子どもの病気や通院などがある場合、1年につき5日まで取得させなければなりません。
育児・介護休業法23条
上記のように、就労しながら子育て(介護)をする労働者に対しては、さまざまな権利があります。これらを定めているのが、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」23条です。これは、主に、所定労働時間の短縮措置の権利です。
事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であっても育児休業をしていないものに関して、厚生労働令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより、当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするやめの措置を講じなければならない。
ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときにはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りではない。
1 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
2 前号に掲げるもののほか、育児のための所定労働者の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働令で定めるもの
3 前2号に掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
上記のような規定を無視し、一方的に不利益な処分をすることがあれば、これらはすべてマタハラと評価されることになります。マタハラは、最近多くの相談が寄せられている領域の問題です。