ご相談内容
会社の上司からパワハラを受けています。具体的には、異動した先の上司の態度が高圧的で、私に対して「ノルマができないから会社を辞めろ」「毎日遊んでいて給料もらえていいな」「会社に来なくてもいいぞ」など、人前で、ネチネチと虐められています。
確かに、新しい仕事で覚えるのに時間はかかっており、なかなかノルマは達成できていませんが、一生懸命働いておりサボっているわけではありません。
会社で上司の姿をみたり、チャットで話しかけられると、頭痛と吐き気がしてきて、最近診療内科にも通院しています。
会社の人事にも相談しましたが、事実関係を調査するという報告だけで、何も進展しません。傷害罪なのか名誉毀損罪か、誰に何を訴えることができますか。
加害者の責任:損害賠償金
パワハラなどハラスメントは、加害者は、被害者に対して不法行為にもどずく損害賠償責任を負います。
損害賠償責任の中身は、以下があります。
– 被害者が受けたハラスメントによって、精神的苦痛を受けたことによる、慰謝料
– その精神的苦痛で、診療内科に通院した場合に、その治療費
– ハラスメントにより休職・退職を余儀なくされて収入が減った場合の給料
などが考慮されます。
加害者の責任:刑事責任
ハラスメントの加害者は、刑事責任を負う場合もあります。パワハラ時に、暴力行為を受けた場合は、暴行罪や傷害罪にあたります。
また、被害者の名誉を傷つける言動をとった場合には、名誉毀損罪や侮辱罪になることもあります。
加害者の責任:会社から
通常、会社では、パワハラ行為は就業規則で定められている懲戒事由にあたることも多くあります。したがって、就業規則にもとづいて、加害者は、会社から懲戒処分を受ける可能性があります。
会社の責任
従業員が業務内で、第三者に損害を与えた場合は、従業員を雇用している側である会社も、損害賠償責任があり、これを使用者責任といいます。
したがって、職場で、従業員がハラスメント行為をおこなった場合は、会社も被害者に対して、使用者責任として損害賠償責任を負います。
また、会社は、被害者と労働契約を結んでいますので、労働契約に付随している「働きやすい職場環境を作る義務」がありますので、職場でハラスメントが発生したということは、債務不履行責任による損害賠償責任を負うことになりえます。
ただし会社側は、パワハラやセクハラ等のハラスメントにどのような事後的な対応を行ったかが重視され、賠償責任を負担しない判断に至ることもあります。