専門学校に通うYは、以前から1年先輩のHに好意を寄せていましたが、気持ちを打ち明けたことはありませんでした。
ある日仲間で、飲み会に行き、そこでHと隣の席になったことを、喜んでいましたが、Yは少し酔ってしまい、ついHに好きだと打ち明けたところ、突然Hは、肩を抱いてきました。たとえお酒の席であっても、付き合っていない男性からそのような態度を取られたことに、Yは憤慨し、”やめてください”と言ったのですが、”好きだったらいいじゃない?”と体に触ってきました。
Yは、途中で飲み会を中座して、帰宅しましたが、好きだったHから軽く扱われたことに大変怒りを覚えて、これはセクハラで訴えてやりたいと、思っています。
この状況において、取れる手段は何かないでしょうか。
考え方
Yさんは、セクハラを主張するのであれば、法的に厳密な意味でのセクハラに該当していないのが実際のところです。
というのは、セクハラには職場でおこなわれたものであること、労働者の意思に反していること、性的な言動が含まれていることが必要になると考えられているのが原則だからです。
しかし、このような原則があるからといって、諦める必要があるわけではありません。セクハラ防止指針といって、使用者側には、セクハラ行為が発生しないように管理上の必要な措置をとることを義務付け、近時は、事実関係の迅速かつ正確な確認義務、再発防止措置をとる義務が定められております。
こうした社会の動向を受け、セクハラ該当性はセクハラを受ける側からの視点からの考察が重要であることを最高裁判所も認めているのです(著名なL館事件といいます)。近時はLGBTなどの視点も指針の対象となりましたので、諦めず、相談をしてみることはひとつの手段でしょう。