ご相談内容
最近、会社の男性社員が、派遣で来ていた女性社員に対して、セクハラ行為があったと、女性社員から申し出がありました。
会社としては、セクハラを受けた女性社員、セクハラをした男性社員、また可能な周りの関係者から丁寧にヒアリングをして、セクハラ行為があったことは判明したために、男性社員に対して、降格処分をしました。
会社では、セクハラが発生したときの、ガイドラインは決めてあったのですは、セクハラだけではなくパワハラがあったときに、加害者である社員に、どの程度までの処分をすべきか規定していませんでした。
他の会社なども参考にしたいのですが、どのように規定するのがよいでしょうか。
加害者処分
社内で、パワハラやセクハラまたはマタハラなどの、ハラスメント被害が発生したときに、会社として事実を調査し、被害者に対して迅速に対応する必要があります。
また同時に、加害者に対しても、ハラスメント行為をおこなったことに対して、処分を与えなければなりません。処分には、さまざまな段階があり、被害者と接触しないように異動させるだけでなく、
戒告:当該違反行為に対して、注意すること
譴責:当該違反行為に対して、注意するだけでなく、始末書なども提出させること
減給:給与を減らすこと
停職:一定期間、会社に出社することを禁ずること
解雇:会社を退職させること
などがあります。
就業規則
上記のような、加害者への処分については、労働基準法89条9号に規定しているように、あらかじめ就業規則で定めている場合に限ります。
つまり、どのような処分を行うかは、その都度決めることはできませんし、処分内容は、会社の就業規則でそれぞれ定めることができます。
会社でそれぞれ決めてよいと言っても、無制約に決めるわけではなく、人事院で指針を出していますので、これらに従うことがよいでしょう。
人事院の懲戒処分の指針
人事院では、平成12年3月31日に、下記のような懲戒処分の指針を出しています。
「人事院では、この度、懲戒処分がより一層厳正に行われるよう、任命権者が懲戒処分に付すべきと判断した事案について、処分量定を決定するに当たっての参考に供することを目的として、別紙のとおり懲戒処分の指針を作成しました。
職員の不祥事に対しては、かねて厳正な対応を求めてきたところですが、各省庁におかれては、本指針を踏まえて、更に服務義務違反に対する厳正な対処をお願いいたします。
特に、組織的に行われていると見られる不祥事に対しては、管理監督者の責任を厳正に問う必要があること、また、職務を怠った場合(国家公務員法第82条第1項第2号)も懲戒処分の対象となることについて、留意されるようお願いします。」
その中には、明確にセクハラ、パワハラという言葉で、それぞれの行為のレベルと処分を、以下のように定めていますので、参考にしてください。
セクシュアル・ハラスメント
ア 強制わいせつ、上司等の影響力利用による性的関係・わいせつな行為 : 免責・停職
イ 意に反することを認識の上でのわいせつな言辞等の性的な言動の繰り返し : 停職・減給
執拗な繰り返しにより強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させたもの : 免責・停職
ウ 意に反することを認識の上でのわいせつな言辞等の性的な言動 : 減給・戒告
パワー・ハラスメント
ア 著しい精神的又は身体的な苦痛を与えたもの : 停職・減給・戒告
イ 指導、注意等を受けたにもかかわらず、繰り返したもの : 停職・減給
ウ 強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させたもの : 免責・停職・減給