ご相談内容
入社して2年目の女性です。配属された部門の課長が、毎日、冗談を言いながら、体に軽く触ってくるのが嫌でたまりません。
肩や背中くらいなのですが、ポンポンと触りながら、仕事の指示をしてきます。会社の人事に相談したところ、調査が入り、後日説明をうけたところ、課長は、指導や叱咤激励のつもりで、子どものように触れただけだと説明したそうです。
今後はしないというので、一旦忘れるようにしていたのですが、しばらくして、会社で、課長が、あの時僕が体を触ったとき、嫌がってなかったよね?と小声で発言したので、怒りのあまり周りの人に聞こえるくらい大声で、セクハラ行為で嫌でした、と叫んでしまいました。
その話が、人事に伝わり、人事に呼ばれて、解決した問題で会社の雰囲気を乱すのならば、会社を辞めることを考えてほしい言われました。セクハラの被害者なのに、会社をやめなければならないのでしょうか。
退職勧奨
ご相談者様のように、会社から退職を促されることを、退職勧奨と言います。
これは、従業員が任意に退職することを勧める行為です。退職勧奨において、会社が従業員に、退職を脅したり、脅迫した場合は、その退職は無効になります。
今回は、退職を考えてほしいという言葉ですが、退職勧奨か、または退職を無理強いしているかの判断は、それ以外の言葉や、言われた時の状況がどうようだったかにもよります。
もし、退職しなければ、解雇する可能性もある、という言葉もあったとすると、その退職は無効になる可能性が高いです。
退職は人生の一大事なので、しっかり協議の上結論に至っている必要があります。
働きやすい環境
会社は、ハラスメントのない働き易い環境を整える義務を負っています。
ご相談者様は、セクハラの被害者であったことから、現在、会社はハラスメントのない環境であったとは言えません。
会社は、二度と、ご相談者様のような被害がでないよう対策をとらなければなりません。
損害賠償責任
ご相談者様の会社は、従業員が働き易い環境を整える義務を怠り、セクハラ被害を防止できなかったため、ご相談者様に対して、不法行為として損害賠償責任を負います。
加えて、セクハラ被害者であるご相談者様に対して、退職を促しており、これによって退職に追い込んだ場合も、退職せざるをえなくなったことについても、不法行為による損害賠償責任を負う可能性が高いです。
セクハラ被害が発生したら
会社は、従業員からハラスメント被害の報告を受けたら、当事者から話を十分に聞いて、対策をとるだけでなく、二度と発生しないような対策を講じる必要があり、新たな被害者がでないように、体制を整えてください。
またヒアリングに関しても適切に行われるよう体制を整える必要があります。