人事部に勤務するTは、弁護士名で、新入社員Sが上司Oから、取引先との接待の帰り、セクハラを受けて、その調査を依頼したにも関わらず、適切な事後対応がなされなかった旨の、通知書を受け取りました。
Oは、Sからセクハラ被害のメールを受け取った際、Oに対して事情徴収をしていました。会食をした日時や、抱きつきの事実関係、などを確認したところ、そのような事実はないとのことでした。
TはSに対して、調査書を送付して、事案を解決したと考えていました。
会社の対応
会社側は、おそらく男性側は問題とされている行為をしていないと主張するでしょうし、女性側は、被害を拡張して主張している可能性がある局面で、どう対応していいのかわからないのが実情でしょうし、そういった相談をよくうけるのも事実です。
もちろん、事実関係に関しては調査し、判断をしなければなりませんが、ただちに感情的に謹慎処分などをすると、不適法な処分になり得ます。まずは、加害者と称されている男性側の話を伺い、そのうえで、事実関係を把握しなければなりません。また、被害者側の話を聞いた上で、処分をするにあっては、調査報告書を記載する必要があるでしょう。
この調査報告書は、できれば外部の信頼できる機関などにお願いすべきで、会社側が一方的に記載したと疑われるような形では記載すべきではありません。また、その上で、男性加害者側の処分を決定する際には、ただちに懲戒解雇などとするのではなく、配置転換や、減給、などの選択肢を含めて、再発防止に向けて努力する方向で考えなければなりません。懲戒解雇をしただけでは、問題が解決することはないのです。