カスハラ
カスタマーハラスメントは、法令上の定義はありません。
厚生労働省が設置した「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の報告書によれば、従業員に対する職場外部者からのハラスメントについて「顧客や取引先からの著しい迷惑行為」と言っています。
これは、暴言、脅迫、威嚇、強要、拘束、長時間のクレーム、不当な金品の要求、セクハラ、SNSでの誹謗中傷などがあたります。
これが社会通念上の常識を超えた言動である場合、刑法上の暴行罪や脅迫罪、強要罪、業務妨害罪、不退去罪、信用毀損罪などに当たることもあります。
適正な要求
カスタマーハラスメントと異なり、通常の苦情とは、例えば洋服を購入したが、洋服が破れていて交換したい、また食事をしたときに、注文したものと異なった料理が来た、お願いしたサービスが提供されないなどの、対価に見合わない商品やサービスに対して、苦情や会社へのクレームを言うことを意味します。
これによって、会社は対価に見合わなかった、商品やサービスを提供した落ち度を謝罪し、補填し、また今後の改善につなげることができます。
カスハラと正当な要求の違い
正当な要求とカスハラを区別することは、難しいですが、これをハラスメントとしては同様の、不法行為を構成するパワハラと同じように考えてみてください。
職場で「業務上必要な指導」で「業務上適正な範囲」にとどまった言動であるかどうかで、パワハラかどうかが判断されます。カスハラも、「サービスや商品」に対して、会社やサービスの落ち度を伝えるために「必要な苦情」であって、その伝え方が「適正な範囲」になっているかどうか、で判断されます。
例えば、洋服を購入したが、受け取ったその洋服が破れていたので交換したいという内容は、正当な要求ですが、1年後に同じことを要求した場合は、出荷された商品に不具合があったとは、判断されませんので、カスハラに該当する可能性が高いでしょう。
また、受け取ってすぐ交換を要求したいというときであっても、「手土産を要求する」「交通費がかかったから10万円払え」などと伝えると、「適正な範囲」を超えますので、これもカスハラに該当します。
一つの判断基準としては、根拠のない金員の要求があるか、そうでなくても、不合理な謝罪の要求をしてくる、などこの二つに関しては明確な切り分け、基準になります。