わいせつ行為をした大学教官を隔離した裁判例

事例

某大学の助教授が、女子学生を酩酊状態にして、ホテルへ連れ込み、わいせつ行為をしました。その後、その女子学生に対して、愛しているなどとしつこくメッセージを送り、交際しなければ女性の友人の単位を落とすなどと脅迫をしました。

大学は、その大学助教授に対して、セクハラ行為として、半年間の停職処分を命じた後、その助教授は、半年間の停職期間を終了して、大学に復職したのですが、大学側は、講義や研究の停止や部屋の隔離、立ち入り禁止、セクハラ研修の参加を命じたことにより、助教授側は精神障害を発症、二度の自殺未遂ののち、大学に対して慰謝料1650万円を請求しました。

職場のハラスメント

職場のパワハラ類型として
1. 身体的攻撃(暴行・傷害)
2. 精神的攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
5. 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
上記6つが提言されています。

人間関係からの切り離し

今回の裁判事例(鳥取地裁平成16年10月12日判決)では、大学助教授は、セクハラの処分期間後も、学生に対する講義及び研究活動の停止、部屋の隔離、化学棟への立ち入り禁止、セクハラ研修への参加、セクハラに関する論文の提出などを命じられたことにより、精神傷害を発症し、二度の自殺未遂を測っていました。

裁判例では、学生に対する講義おとび研究指導を停止したことは、セクハラでの非道な行為によるものであり、適法とはしながらも、一人部屋への移動し、研究予算もありながらも、なにもやることのないまま、部屋に1年10ヶ月もおかれ、学生との接触を一切なくしたことは、たとえセクハラでの非道な行為を前提としても、受任程度を超える合理性のないものであると判断され、大学への110万円の慰謝料支払いを命じました。

請求の金額からすると、極めて小さい金額が認容されているにとどまるように思いますが、セクハラ加害者側が処分をした法人側に対して、請求しているのは珍しい事例です。

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