ご相談内容
男性を相手にする飲食店でアルバイトをしています。
何度か接客したお客さんから、チップももらいますが、1回1000円くらいもらうので、一日に多いときは、3000円くらいもらうこともあります。
店長は、お客さんからいくらチップをもらったか教えろと言ってて、その金額を、給料から引いています。
わたしのサービスに対してもらったチップは、給料なのでしょうか。
賃金
労働契約においては、私的自治の原則が働き、労働者と使用者がお互いに納得しているならば、国は介入しません。
しかし、使用者が、労働者の生活に関わる賃金を自由に決められては困りますので、賃金について、労働基準法で定めています。
労働基準法24条1項に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その金額を支払わなければならない」また、24条2項には、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定めています。
これは、「賃金支払いの5原則」と呼ばれています。
賃金支払いの5原則を紹介しておきます。
1.通貨払いの原則
賃金は、通貨(日本銀行券)で支払うこと
2.直接支払いの原則
賃金は、直接本人に支払うこと
3.全額支払いの原則
賃金は、その金額をその全額を支払うこと
4.毎月一回以上払いの原則
少なくとも毎月1回は賃金を支払うこと
5.一定期日払いの原則
賃金は「毎月25日」というように、その支払期日を特定すること
となっています。
チップ
ご相談者様のように、チップは賃金なのかという話しはよくあります。
上記の賃金は、使用者が労働者に対して支払うものであり、チップは、お客様から労働者に対して支払われていますので、賃金には該当しません。
労働基準法11条では、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他の名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めています。「使用者」が「労働者」に対して、「労働の対価」として、支払うものを賃金と言いますので、あくまでもチップは贈与だと扱われます。