会社である男性社員が、同僚の女性に関して、社内の男と不倫していると、周りの社員に言いふらしています。実際、その女性が不倫しているという事実もあるようですが、このような風評を流すことはセクハラにあたりませんか。
また、女性社員同士でも、同様のトラブルが考えられますが、その場合もどのような取り扱いをするべきでしょうか。
名誉毀損や環境型セクハラにあたる可能性があります
名誉毀損罪の可能性
名誉棄損罪が成立すると、刑法230条は、3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金が刑事罰として課されます。
人が円滑な社会生活や社会活動を行うための前提である人の積極的評価を害する行為を禁止しているのです。そのため、公然と事実を指摘して人の名誉を害してしまうと、名誉棄損罪に問われます。
なお、公然と、というのは、不特定または多数人が認識しうる状態をいうといわれています。また、事実は、人の社会的評価を低下させるに足る具体的なものでなければなりません。人格的価値にかかわる事実のみにならず、プライバシーを侵害する事実も含まれるのです。
ちなみに、現実に社会的評価が害されていることまでは不要で、その危険があるだけで足ります。本件では、その男性社員は、同僚という一緒に就労している近場の関係にある、異性である女性に対して、社内という狭い範囲の人間関係を有している特定の男性との不倫行為を、指摘しています。しかも、言いふらしているのであれば、不特定多数人への伝達が含まれています。
ちなみに、これは事実かどうかには関係がないですから、事実であってもなくても名誉棄損罪が成立します。仮にこれが男性社員ではなく、女性社員同士でも、同じです。
環境型セクシャルハラスメント?
セクハラといえば、女性にだけお茶くみをさせたり、性的な言動を一方的に向ける行為を想定しがちですが、ジェンダー・ハラスメントと呼ばれているような性差別意識や女性蔑視に基づく言動などは、均等法や人事院規則が法的規制の対象としており、「相手方の意に反する性的言動」です。
しかし、本件の場合、セクシャルハラスメントが成立するというより、不法行為責任を伴い、慰謝料請求を受けてる危険がある行為です。
要は、セクハラなどと分類する必要がなく、他人のプライバシーを侵害するような情報を流布する行為は、それ自体が不法行為責任を伴うものです。セクシャルハラスメントである、などと分類して定義するまでもなく、名誉棄損を原因として不法行為責任を追及することができるものなのです。
解決にむけて
法的な責任は上記の通り、名誉棄損罪が成立し得る、不法行為責任を伴う悪質なものと言わざるを得ません。
しかし、ただちに法的責任の話をすることには、抵抗がある方が多いのではないでしょうか。ハラスメントやパワハラ等のハラスメントを受けた場合、被害者はただちに抗議をすることだけではなく、管理者(会社側)に相談をする権利・苦情を申し出る権利があります。これらを用いることも視野に入れてください。
特に、抱え込むと、この問題は精神疾患によるメンタル不全・休職や退職を余儀なくされることが多く、迅速に対応する必要があることは指摘ができます。