ご相談内容
物流会社で事務の女性正社員として、12年勤務しています。会社が業績が良かったときは、給料も上がっていき、やりがいもあったのですが、最近の不況で業績が悪くなっている様子です。
給料も減収して、同期の男性は、会社に見切りをつけて転職していっているのですが、私は女性の事務職で特に資格もないので、この年で転職は無理なので、なんとか会社にしがみつこうと思っていました。
ところが、最近来た上司から、突然、セクハラの言葉を投げかけられるようになり、「夜遊びしすぎじゃないの?」とか「男なら誰でもいいんじゃない?」などと明らかにセクハラにあたる言動なので、人事にクレームすると、その上司には注意しておくと言いながら「そんなに嫌だったら、会社を辞めてもいいんだよ」とまで言われます。
その上、セクハラ上司は、私に仕事を与えなくなり、会社に来ても座っているだけで、仕事がほしいと言っても、「君にできる仕事がない」というばかりです。
会社全体で、私を自主退職に追い込もうとしている圧力があります。どうしたらいいでしょうか。
退職する必要はありません
会社は、従業員を理由なく解雇することはできません。しかし、従業員が自ら「辞めたい」という場合は、原則として自由に退職することができます。
また、会社は業績悪化などを理由に、従業員に退職を促すことはできます。
なぜなら、このまま従業員と共に、会社が倒産してしまっては、逆に従業員を急に路頭に迷わせることになるからです。
しかし、この場合でも、従業員に退職を強制することはできず、自主的に決断してもらうことになります。
もし、会社が、従業員に退職を強要して退職させた場合は、退職自体が無効になり、会社に損害賠償責任が発生する可能性があります。
セクハラ
職場におけるセクハラ(セクシャル・ハラスメント)とは、職場における性的な言動により、労働者の就業環境を害することを言います。
セクハラの定義は、男女雇用機会均等法では、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、または当該性的な言動により当該労働者の就業条件が害されること」としています。
ご相談者様が受けた、「夜遊びしすぎじゃないの?」とか「男なら誰でもいいんじゃない?」などと明らかにセクハラにあたる言動となります。
パワハラ
パワハラも、増加傾向にあるハラスメントです。
厚生労働省が発表した「職場のパワー・ハラスメントの予防・解決に向けた提言」では、上司が部下に対してだけでなく、同僚間、部下から上司行なわれる嫌がらせも、パワハラに含まれているとしています。
具体的には、暴力や暴行など直接的な攻撃、無視や仲間はずれなど精神的な攻撃、明らかにできない業務を強制する、そして今回のご相談者様のように、仕事を与えない、もパワハラに該当します。
退職を促す行動
会社の業績が悪くなり、社員の退職を促すこと自体は違法ではありません。
しかし、会社が、セクハラやパワハラを使って、退職を促すことは、不法行為に該当し、退職を促すどころか、損害賠償責任に問われることになります。
会社は、なぜ退職を促す必要があるのかを、従業員に納得のいくように説明し、強制的に退職されることにならないように、十分注意をしてください。
いったん退職の意思表示をしてしまうと、やはり復帰することは困難となります。