優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、就業環境を害することが要件とされます。優越的な関係とは、職務上の地位が上位であれば足ります。業務の適正な範囲を超えているとは、業務の目的を大きく逸脱している好意をいいます。就業環境を害するとは、著しい暴言など人格を否定する行為や厳しい叱責を執拗に繰り返すなどの事情があげられます。古くは暴行脅迫など、現代では隔離・仲間外し・無視、遂行不可能なことの強制、私的なことに過度に立ち入ることをいいます。
パワハラ対策の取り組みとしては、トップのメッセージを発信することや、ルールを策定すること、実態の把握に勤めること、教育をしていくこと、周知啓発を行うこと、相談や解決の場を提供すること、再発防止に努めることなどが推奨できますが、この中でももっとも重要なものは、事実の正確な把握に努めることなのです。ちなみに、裁判例などの例でパワハラで問題となりやすい者は、長時間労働が介在している特徴があります。