ご相談内容
会社で人事部に属しています。最近の経済状況から、会社の売上が落ちていき、一生懸命働いている営業社員でも成績があがらないので、結果的に給与が減ってきています。
最近、社長から、メンタルヘルス疾患による休職や産前産後休暇をとっている社員に対して、有給で支払っていれば減給すること、また休職から戻ってきて同じ給与を支払うことができないので、降格すること、を命じられました。
確かに、社長の言うことも正しく、働いている社員ですら減収しているのに、休んでいる社員の給与に変化がないことは不公平であり、またその金額を払い続けることにより、会社の経営が一層悪化するならば、仕方ない対応かとも感じています。
会社を休んでいる社員に対して、一方的に、減給、降格の通知を出すことはできますか?
給与制度
かつての多くの日本の会社では、毎年の給与改定で、年齢があがるに連れて昇給していくというのが一般的でした。
最近では、たとえ、基本給は固定であっても、それにプラスして、成果主義といった、本人の売上などに応じて給与を支払うインセンティブ制度を取り入れている会社も増えてきています。
成果主義の制度では、売上によっては、年収が減ることもありますし、基本給の給与改定が必ずしも年収が増えることが約束されているわけではなくなってきています。
減給するとき
会社が、労働者に対して減給するときは、あらかじめ就業規則に定めておかなければなりません。
その記載がなく、「年一回昇給」と明記しているだけですと、会社の判断で減給することはできません。
その場合は、「減給もありうる」と記載しなければなりません。
現在、減給の記載がない場合は、制度の変更をする必要がありますが、その変更は労働者の不利益な変更なので、労働者の同意をとってください。同意がない変更は、無効になる可能性もあります。
休職中の減給や降格
ご相談のように、休職中の社員に対して、降格や減給をすることは、基本的には難しいでしょう。
なぜなら、減給や降格処分は、社員の勤務状況に応じて行われるものなので、勤務していない以上、労働を評価することはできません。
休職中の社員が復職してきて、勤務時間が短くなった、職務内容が変わったなどの理由があれば、就業規則に従った上で、減給や降格もできます。
ただし、今回会社の業績の問題、現在勤務している社員の給料の状況など、総合的に見て、このままであると会社自体が倒産して、給与を払えない、休職が終わって戻る会社がなくなる、という恐れもある場合には、本人と相談して、納得した状況下で対応を検討し、同意を得てください。
また、それも就業規則に記載された内容に従う必要が生じます。