ご相談内容
男性の従業員が、オフィスで、課長からお腹をグーで殴られたと、相談がありました。
その課長は、仕事熱心ではあるけれども、暴力を振るうようなタイプには見えません。
課長に、ヒアリングをしたところ、「殴ったことは絶対にない」「親しみを込めて、肩を叩いたことはある」と説明を受けました。こういう場合どのように対応したらよいでしょうか。
パワハラを相談されたら
部下や従業員から、パワハラ被害にあっていると相談を受けたら、まずは当事者双方から、公平に話を聞きましょう。
ハラスメントは、客観的な証拠で認定されます。
その時に、相手に同意をとって録音することも後から有効になるかもしれません。
ヒアリングの際には、当事者に対する先入観を捨ててください。
ハラスメントを受けた被害者が、普段から素行に少し問題がある人、服装が派手な人、泣いて訴える人、であっても、まずは、パワハラ被害の事実を正しくきいてください。
また、パワハラした上司に対しても、態度は悪くても営業成績がいい人だからな、とか昔お世話になった人などという先入観も捨ててください。
相談を受けた人がパワハラする場合
テレビ局の女性が、高級官僚から性的な関係を求められた事件がありました。
女性は、上司である政治部長に、被害を訴えましたが、部長は「二次被害の恐れがあるので、公開できない」という対応をしました。
これを、女性は、セクハラを受けた後に、社内でパワハラにもあったと訴えたというケースもあります。
これは企業でも同じで、取引先の男性から、女性従業員がしつこく飲みに行こうと誘われたり、身体を触られて、上司に訴えても、その上司が、「大口の顧客だから我慢しろ」「女なんだから女の武器で商談を取ってこい」などと言うと、その上司もハラスメント加害者になります。
偽パワハラの可能性も
今回のご相談者の場合は、被害者と加害者両方から、公平に話を聞いた上で、事実と異なるのではと考えています。
オフィスで起こったことなので、同僚からも話を聞いてください。
最初は、どちらかに肩をもって、曖昧な返事をするかもしれませんが、根気よく話を聞いていくことで、もしかしたら、気にいらない上司だから、パワハラで訴えて、いなくなってほしいという虚偽の申告の可能性もあります。
似た事例では、女性が男性上司との不倫のメールを、夫に見つかってしまい、「上司からセクハラを受けている」「関係を強要されている」と説明したことで、夫が会社に乗り込んできた事件があります。
会社では男性上司に話をすることで、不倫は事実でも、セクハラはしていないと証拠を出してきました。
結果、女性は虚偽告訴をしたという理由で、懲戒処分を受けました。偽ハラスメントを見極めるのは、大変難しいですが、根気よく周りの情報を集めていってください。
主に関係が悪化した後は、要注意です。