裁判例の内容
テレビ局の社員が、テレビの撮影現場に見学にきていた女性に、しつこく迫り、テレビ会社はその男性社員を懲戒処分にしました(東京地裁平成19年4月27日判決)
事件の内容
テレビ局に勤務する男性が、担当する番組のボランティア女子学生の友人が、テレビ局の撮影を見学にしたところ、その後、女性に対して、しつこく飲食に誘いました。飲食の後に、抱きついてキスをして、女性の自宅に宿泊させろと迫りました。
この事実を知ったテレビ局は、男性社員を半年間の停職処分にして、別の部署に配置転換しました。
男性は、これを不服として、女性との関係は私的な時間のことであり、私生活の介入は許されないこと、会社の処分が重すぎるとして、テレビ局に対して、停職処分と配置転換を無効にすること、精神的苦痛による慰謝料280万円を請求しました。
裁判例の判断
判決では、男性は以前に暴力行為を起こし、今後同様な事件を起こしたら会社を辞めるという誓約書を出していること、また、テレビ局に見学にきた女性に対する、つきまとい行為は、テレビ局の信用を著しく落とすものである、ことを理由に、男性に対する停職処分と配置転換は有効であると認めました。
これは、セクハラ行為の相手は、職場や学校ではありませんが、典型的なストーカー行為であり、ストーカー型セクハラとして位置付けられます。
配置転換や、停職処分をしたところで、抜本的解決になることはないでしょう。ただ、これを根拠として精神的苦痛を主張することは困難であると指摘できましょう。