事例
不動産の管理、賃貸を行う会社の部長は、パワハラで有名でした。業績はあげていましたが、部下のほどんどは、部長から常に罵られていました。例えば、以下のような態度でした。
– 部下Aに対しては、「年末までに2000万円やらなければ退職する旨一筆かけ」「この成績では子供にいかに駄目な父親かわかる」「3月までにやれなければ辞めるとかけ」と告げた上、Aの成績が上がらないとして退職を迫った。
– 部下Bに対しては、「家族構成、配偶者の収入、独立の可能性」を聞いて、退職を求められていると受け止められるように接した。
– 部下Cに対しては、「向いていないなら辞めた方がいい」と告げる。
– 部下Dに対しては、「店舗にスパイを置いているから今後は真面目に働け」と脅す。
– 部下Eに対しては、営業室は、「どこにも行き場のない人の為に作った部署」と行って、2名を辞めさせろと迫った。
処分に対して
会社は、部長に対して、上記の行動はパワハラにあたるとして、今までの8等級から7等級に降格しました。部長はこの処遇を重すぎて不服として、会社に対し訴訟提起をしています。
判決
裁判所は、部長の行動は、一部は業務範囲でありパワハラに該当しないものもあるが、一連の行動は大半はパワハラに該当するとして、部長が受けた処分は相当としました。
本来のあり方を考える
判決では、「真面目に頑張っていても営業成績を残せないことはあり得ることであるが、部下自身がそのことに悩み、苦しんでいるはずである。にも関わらず、数字が上がらないいことをただ非難するのは無益であるどころか、いたずらに部下に精神的苦痛を与える有害な行為である。部下の悩みを汲み取って適切な気付きを与え、業務改善につなげるのが上司としての本来の役目ではないかと考える」と述べていることは特徴的です。