ご相談内容
勤務している会社の上司は、全員の部下に対して、とても厳しい人で、指導も一生懸命ですが、ミスをすると、「やる気がないからこんなミスをするんだ」「もっと頭を使って行動しろ」などと、強い口調で怒鳴ります。
私も、日頃から注意をして、怒られないように静かに過ごしていましたが、ある朝、通勤電車の中で気分が悪くなり、電車を1本遅らせたことが原因で、5分会社に遅刻してしまいました。会社についてすぐ謝罪したのですが、上司は、なぜ遅刻したのか、どうしたら遅刻が防げたのか、などをしつこく問い詰め、毎日反省文を書くように命じました。
確かに、もう少し早く家を出ていれば、このようなことはなかったのですが、遅刻したのも初めてですし、毎日毎日反省文を書かされて、すでに1ヶ月たっていますが、まだ許されません。
これは、パワハラ行為ではないでしょうか。
指導とパワハラ
会社で、業務と関係ない内容で、上司が部下を大声で罵倒したり、業務と関係ない仕事をやらせたりした場合は、間違いなくパワハラに該当します。
しかし、部下の指導の一貫で、叱責するような場合は、パワハラなのかそうでないかの線引きは、難しいところです。
上司が、部下に業務の改善として厳しい言葉をかけること自体はパワハラではありません。
ただ、その言葉が、
何度も繰り返される
必要以上に大声を出している
周りの人に聞こえるように叱責する、などの状態で、言われている部下も精神的に参ってしまう場合は、パワハラに該当するでしょう。
反省文
ご相談者様のように、指導という目的で反省文を書かせることについてですが、今後発生しないような改善策を見出すという目的で、反省文を書く事自体はパワハラではありません。
反省分を書くことは指導の一貫に含まれます。
しかし、その反省文の書かせ方、提出の仕方、頻度によっては、パワハラに該当することもあります。
ご相談者のように、今まで一度も遅刻をしたことがない人に対して、過度な反省文を書かせなくても、注意をするだけでも十分かもしれませんし、また毎日書く必要はありません。
従って、同じミスに対して、毎日1ヶ月も反省文を書かせる行為は、パワハラに該当する可能性が高いです。
損害賠償責任
会社内で、パワハラがあった場合、パワハラの加害者は損害賠償責任を負います。
また、パワハラを防止できなかった会社も、加害者と同様に、損害賠償責任を負います。
会社は、パワハラが二度と発生しないような体制を整える義務があり、従業員のハラスメント研修、上司が部下を指導するマニュアル作り、ハラスメントが発生した場合の行動、などを整えることが、パワハラの予防になり、今後の処理に役立ちます。