ご相談内容
会社員の女性です。同僚から、わいせつな行為を受けて許せません。刑事罰を受けてほしいのですが、どのような罪があるのか教えてください。
セクハラが犯罪になる場合
セクハラが犯罪にあたる場合、犯罪の法定刑がいくつかあります。どの刑罰になるか、またどのくらいの量刑になるかは、裁判例などが参考にされますが、ともあれ、刑法上の行為やこれから照会する特別法上の行為に該当するかを見定めなければなりません。単なるハラスメントが、実際に刑事罰に問われうるものに至っていることは、そこまで多くはありません。
刑法
– 公然わいせつ罪(174条、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または、勾留もしくは科料)
– 強制性交等罪(177条、5年以下の有期懲役)
– 強制わいせつ罪(176条、6ヶ月以上10年以下の懲役)
– 強要罪(223条、3年以下の懲役)
– 名誉毀損罪(230条、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金)
– 侮辱罪(231条、勾留または科料)
ストーカー行為等の規制などに関する法律
– つきまとい等の禁止(3条)
– ストーカー行為(2条3項)つきまとい等を反復していると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
軽犯罪法
– のぞき見の禁止(1条23号)勾留または科料
迷惑防止条例
各都道府県ごとに条例があり、異なっています。
例として、東京都では
– 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例では、
– 痴漢行為の禁止(5条1項1号)6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
– 盗撮行為の禁止(5条1項2号)1年以下の懲役または100万円以下の罰金
– つきまとい行為等の禁止(5条の2第1項、メールやSNSの連続送信、名誉を害する事項を告げること、性的羞恥心を害する事項を告げることを含む)1年以下の懲役または100万円以下の罰金
事例に照らして
実際の刑罰は、行為の程度、状況、頻度、悪質性、謝罪と被害弁償の有無、被害者の感情の強さ、など様々な状況から判断されます。
とくに、ハラスメントは一定の関係性がある人間関係のもとで生じるものですから、関係や経緯なども見られます。民事上の慰謝料請求等で解決するほうが一般的なゆえんは、これが理由であるとも考えられます。まずは犯罪だ!と考えるより、冷静にどんな関係でどんなことが行われているのか、見極めることが重要です。